コタバルさんのマレーシア語講座 その1

 Pengenalan(はじめに)

マラヤ大学でマレーシア語を始め、あっという間に1年が経ちました。時間の言い方や受動態など一部を除き、文法的にはほぼマレーシア語と同じであるインドネシア語を日本で1年間勉強していたので文法の基礎はあるものの、日本でマレーシア人に会ったことすらなかった私は、実践的なマレーシア語に関しては「ゼロ」でした。その上、挨拶などの簡単なインドネシア語を知っていたことが私をさらに混乱させました。

というのは、これら2つの言語は、話し言葉となると全く違うからです。もとは同じ言葉で両国は同じ文化圏だと言っても、マレーシアとインドネシアでは国の持つバックグラウンドが違います。言葉は文化を反映しますし、なにしろ生きているのです。両国の言語差がひろがらないよう、マレーシア・インドネシア間では定期的に連絡会議が開かれていますが(参考:地球の歩き方マレーシア)、実際には差はひらく一方です。特に日常会話で使われる単語は言いやすいように短くされたり、外国語(特に英語)の借用が入ったり、流行語が作られたり…と日々変化している! のですから、それは無理もない話です。

そんなコタバルはインドネシア語文法を基礎に、授業で習った文法とマレーシア人の会話からマレーシア語を覚えていきました。基本的に面倒くさがりで、文法の勉強に何度も挫折したということと、とにかくマレーシア人の輪の中に入ってマレーシア語を話すことに夢中になっていのです。

ですから、以下のコタバル先生のKuliah(講義)は、マレーシア人の会話を聞いて分からないところを先生や友達に説明してもらったり、「日本語だったらきっとこういう意味だろうな。」と感覚的に覚え自分でも使っているものを基礎にしています。これらは私が覚えた日常会話のマレーシア語であって、テキストからの抜粋ではありません。

私は市販のテキストや会話表現集に詳しくありませんが、マレーシア語はマイナーなため下に挙げるようなものを扱うものはないと思います。そしてなによりも私自身が「最初の頃、これが分かっていたら人の話すことがわかりやすかったのに。」と思ったからこそ、この講座を開くことにしたのです。

先ほども言いましたように私の経験を基にした講義ですから、コタバルのマレーシア語力を信用してくださることが、講義参加の条件です。基本マレーシア語はテキストに任せるとして、マレーシア語を勉強しはじめた人が実際の会話でよく耳にし、さらに自分自身でも使えると会話がスムーズになるであろう基本語のみを選びました。

では、始めましょう。

 

Kuliah 必須の短縮形

話を聞く時にいちばん困ったのが短縮形です。下のリストにあるものは、マレーシア人が普段話す時に使うものなので分からないと何を言っているのか、さっぱり分かりません。これが分かればずっと楽になるのは間違いなし!

文中「F」は私のルームメイトFarah、「K」はコタバルです。例文は実際にコタバルとファラの会話からの抜粋です。「訳」は、マレーシア語を聞く時も話す時もコタバルが勝手に心の中で思う「きっと日本語だったらこういう感じだろうな。」というコタバル風味の意訳です。

Singkatan(短縮形)

 

短縮形

実体験から語る、コタバル先生からのためになるコメント

Tak

・否定「〜ではない(not)」と「いいえ(no)」という意味の「tidak」の短縮形。

・書く時は「tidak」を使うが、スピーチなど正式な時以外は「tak」。

 

 

Nak

  • 「〜したい、〜が欲しい(want)」と未来形の「〜するつもり」 いう意味の「hendak」の短縮形。
  • 同じ意味で「mau」もあるが、全然使われない。
  • nak」の使用率は断然高く、こっちを使った方がよりネイティブっぽい。
  • 書く時は「hendak」。

 

() F:( チョコレートを見せながら )“ Nak? ( 食べる?)

K Tak nak. いらない。)

 

 

Ni

tu

 

 

 

  • ini(this)」と「itu(that / it)」の短縮形。
  • 他の短縮形にもいえることだが、実際に発音すると短縮形の方が断然言いやすく、文が滑らかになる。

 

() Apa ini / itu ? Apa ni / tu ?

  • 前者は「これ(あれ・それ)は何?」、後者は「何これ(あれ・それ)?」。
  • 発音は「アパイニ(アパイトゥ)?」と「アパニ(アパトゥ)?」

 

 

 

 

bila

 

 

 

 

 

・「apabila」の短縮形。

・5W1Hの「いつ」を意味する「bila」と間違えないように。

 

() F Farah datang ambil Kotabaru,ya !

(コタバルを迎えにいくからね。)

K Oklah! Saya tunggu sini, ya.

( 分かったわ。ここで待ってるね。)

 

 

 

dah

  • 「もう〜した(already)」である「sudah」の短縮形。
  • 他の短縮と比べ少し聞こえにくく認識しにくい。
  • sudah(スダ)」の発音は「U」があるため唇を突き出すが、

dah(ダ)」はその必要がなく、文章がもたつかない。

・マレーシア人の挨拶「Sudah makan?」を使った例は以下の通り。

 

() F Sudah makan ?

(直訳:「もうご飯食べた?」。しかし感覚的には英語の「How are you?」で、別にご飯をもう食べたかどうかを聞きたいのではない。ただ挨拶としてすれ違った時などに言う。あるマレーシア人のコメント、「マレーシア人は食べることしか考えて ないからそう言うんだ。」

K Sudah. (うん。Yesを意味する「Ya」ではない。

Sudah」は「Sudah」で答える。)

 

 

 

 

 

 

kan

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 未来形「〜するつもり」である「akan」の短縮形。
  • 上の「nak」との違いは下の例文で確認。

 

  1. F Pergi mana? (どこいくの?)

K Nak pergi perpestakaan. 図書館。)

・「今これから〜する」という時は絶対に「nak」。こうい 場面 で「kan」は使わない。

 

(例2) F Nak buat apa besok? 明日何するの?)

K Saya nak jalan-jalan kat KL”( KLで遊ぶの。)

・単純に「〜するつもり」というよりは、「〜したい」というニュアンスも含まれている。この場合も「kan」は使わない。

 

(例3) F Bila balik kampung? ”(いつ実家に帰るの?)

K Saya kan balik hujung minggu ni.”(今週末。)

・ニュアンス的には「少し先の話」な気が。

・書く時は「akan」。

 

Aje

sahajaonly)」の短縮形。「saja」でもよい。私はこれを言うのになんとなく抵抗があったので、「saja」を使っていました。と言うのはネイティブ並みに上手な人なら聞き手は違和感がないでしょうが、そうでもない人がこれを言うのは感覚的に行き過ぎている、つまりその部分だけが浮いてしまう気がしたからです。そういう単語に出会ったら、無理に使わなくても聞けるようにしておけばいいのです。徐々に慣らしていきましょう!

 

 

Kat

 

 

  • dekat」の短縮形。
  • 前置詞「di」の代わりに使われることもある。(Kuliah2で説明。)

 

() F Tinggal di mana di Jepun?

(日本のどこに住んでるの?)

K Kat Yokohama. (横浜のそば。)

 

次回のKuliah2は、「語尾編」と「よく使われる会話表現編」です。

私の投稿に対する、ご意見・ご感想をお待ちしています。

お手数ですが、英語、マレーシア語、ローマ字日本語または日本語を添付ファイルにして、下記のアドレスまでお願いします。

 コタバルのマレーシア留学体験記 sangatcantik@hotmail.com