乗合いバン・四輪駆動車中で考える


さてサンダカンから次はどこに行こうかと考えました。ダイビングで有名なシパダン島ならSempornaへまず行くことになります。筆者はシュノーケルはしますが、今回は一人旅ですからそういう所へ寄ってもおもしろくないし、ということで,予定していたサバ州最南端の町Tawau へ行く前に Lahad Datu に寄ることにしました。

前日チェックしておいた公園近くの長距離車乗り場へいき、Lahad Datu 行きの車を探しました。バスは早朝すでに出発したので、乗合の、バスミニと呼ばれるバンか四輪駆動車です。筆者は座席の多少でも広い四輪駆動車を選び、満席になるまで30分ほど待ちようやく出発。こういう車は満席になるまで出発しませんから、ときによってはいらいらしますが、しかたありません。

半島部ではもう見られない

町と町,村と村を結ぶこういう乗合いバンと四輪駆動車は、半島部マレーシアでは旅行社がツアーで使うことはあっても、禁止なのかまったく見られません。そのかわり中長距離乗合いタクシー形式です。サバ州とサラワク州にはまだこいう乗合車形式が残っているわけです。本数の少ないバスに比べて便利と言えば便利ですが、後で述べるように安全面では今一つです。

多い幼児連れと文化の違い

で車は2人の子供連れの、母親と夫婦それぞれ1組、女子学生らしきが2人、男が1人と筆者、計大人7人子供4人の詰め込みです。狭い車内で子供のうるさいのには閉口します。マレーシアでは都会の中国系を除けば多産主義ですから、どこへ行っても複数の幼児・子供連れが目に付きます。それはいいのですが、こういう旅で同席する親にはマナーの悪い親が多くて、子供が何しようとまったくかまわずなので困ります。

具体的に言うと、自分の家の中と公の場つまりバス、乗合い車内を区別しないのです。車内で物を食べまくりゴミを散らかし幼児が泣き喚く、しかしそういう行動を注意する場に出会ったことがありません。要するに彼らにはそれが全く普通のことなんでしょう。マナーが悪いと感じるのは多分、子供の少ない社会、内と外を区別するようにしつけられた社会そういうところで育ってきた者だけなのでしょうね。

飛ばす運転にはどうしても慣れられない

そんな事を車中で思いながら、トヨタ車はよく手入れされた舗装道路を一路Lahad datuに向かって走ります。運転手は飛ばす、文字通り飛ばすのです。もちろんそんなことは百も承知してましたが、やっぱり筆者みたいな”おとなしい走りに慣れた人間”にはその走りが恐いのである。

この運転手も一歩市内をでれば、もう時速百キロの世界にひたり、1車線しかないところで前から対向車が見えてても平気で追い越していく。やっぱり彼らはマレーシア人ですな。運転マナーは半島部と変わりません。

この路線ではなかったが、次の行程 Lahad Datu からTawau へ向かう乗合いバンの時、途中で強い雨になった。しかしなんとワイパーは壊れていてまともに窓をこすらない。前がはっきり見えないではないか。
サバ州の主要道路はきれいに舗装されているとはいうものの、山道では場所によっては路肩がくずれていたり急に1車線になったりしますから、寿命が縮みますよ。この雨の中ハイスピードでスリップして崖下に落ちたら、”一貫の終わり”は間違いないでしょう。

サンダカンを出て30分もすれば車窓の両側は原っぱとプランテーション農園だけが続く単調な景色。半島部ならこういう景色は1時間も走れば集落や町村で途絶えるのだが、サバ州は違う。その広さと町村の少なさを感じさせられる。
車内で聞こえる会話はマレーシア語ばかり。しかし半島部とはアクセントがずいぶん違うので、子供連れはどの民族であろうか。マレー人なのかな。何十もいる先住民族の一つだろうか。

97/11/22