クアラルンプールから近隣国家の次の都市までの飛行時間は、シンガポールまで約50分、バンコクまで約2時間、ホーチミンシティー(サイゴン)まで2時間弱、ジャカルタまで2時間かかります。ではサバ州の州都コタキナバルまでは飛行時間はどのくらいかかるでしょうか? 答えは、2時間30分から40分です。
この数字を見ただけでもサバ州の遠いことがお分かりになりますね。時間がかかるだけでなく、飛行料金も上記の近隣国家へのフライト料金並みかそれ以上に高いのです。マレーシア航空のコタキナバル往復普通切符エコノミークラスでなんとRM874 、これはバンコクやホーチミンシティーへ往復旅行するより多少高いのです。30日間有効の周遊料金でも RM689もします。ちなみに一番手軽なシンガポールへならマレーシア航空とシンガポール航空共通の片道 RM160 のシャトルサービスがあります。
この距離と値段ですから、半島マレーシア居住人でサバ州へ足を踏み入れたことのない人はもう極めて普通、ビジネスで行き来している人を別にして、行ったことのある人を探す方がずっと大変です。
サバ州は歴史的に見てもサラワク州と同じように、半島マレーシアとは違った面をもち、英国北ボルネオ会社の支配下に長いことありました。サラワク州とシンガポールといっしょにマレーシアに参加したのは63年、マレーシア独立から6年遅れました。
民族的には30を超える先住民族のうち最大のカダザン・ドウスン族が州人口200万弱の3分の1の多数を占め、その他バジャウ族、ムルット族などがよく紹介されます。マレー人は人口面でも経済面でも第一の地位を他民族にゆずっています。
後年の移住民族としては中国人が多数派を占め、ごめんなさい手元に正確な数字がないのです、サバ州のいたるところでその存在と経済力を知らされます。尚半島部に多いインド系は大変少ないのです。
さらに移住民族と呼ぶべきかどうか迷うのが、カリマンタンのインドネシア人と南部フィリピン人です。州労働人口の半分近くはフィリピン人とインドネシア人といわれるくらい多いのです。
サバ州政府は今年の8月末までの半年間、非法にサバ州で働いているフィリピン人とインドネシア人を手続きにしたがって役所に届ければ、その地位を合法化するという方途を実施しました。それによって40万数万人もの非法労働者がサバ州での労働滞在合法化の地位を得たのです。でもまだ8万人、一説によれば十数万人もの違法労働者がいるとのこと、州政府の悩みは終わりません。
地図を見ていただければお分かりのように、サバ州の南ならインドネシアのカリマンタンに国境を接し、北と東はスルー海とセレベス海に面しフィリピンのミンダナオ島はすぐ近くです。サバ州から半島マレーシアへ行くより距離は近いのです。
サバ州のいくつかの港とフィリピン、インドネシア国境の港町間には安価なボート、フェリー便が頻繁に運航されていますから、サバ州の一部の人にはフィリピン・インドネシアの方が身近に感じるかもしれません。
このようなことからサバ州は極少数の先住民族を含めて多くの民族の混在する、半島部マレーシアをはるかに上回る多民族社会です。日本からも直行便が飛んでいるように、豊かな自然が残っているサバ州はダイビングやエコツアー目的の外国人旅行者が多いと言われています。
もっとも今回(11月7日から14日)筆者は雨季に訪れましたので、旅行者に出会うことは極めて少なかったのですが。
筆者は約6年ぶりにサバ州を訪れ、州を一周して自然の雄大さを実感し、半島部マレーシアとは違う雰囲気を味わいました。たった1週間の滞在でしたからそんなに詳しいことはわかりませんが、これから少しずつ報告していきましょう。