日本のJR でかつて使われていたブルートレインが、現在マレー鉄道の鉄路を走っています。
このブルートレインは日本からマレーシアに2010年ごろ贈られたものです、恐らく無償援助の形だと思われます。
マレー鉄道はこのブルートレイン車輌から成る新しい列車編成を組んで、Malayan Tiger Train と名づけて東海岸線の ジョーホールバル−クランタン州間の運行を2011年末に開始しました。その後すぐに時刻表を改正したので、本格的運行は次の時刻表の開始である2012年2月1日と思われます。この列車は JB Sentral - Tumpat 間を往と複で曜日の異なる週 3往復運行している。なおクアラルンプールのある西海岸路線は走行しません。
注: 英領マラヤ、マラヤ共産党といった伝統的な用語である ”マラヤ” という単語を訳語に使います。
運行頻度 | 毎月水金 | - | 運行頻度 | 毎日火木 | - | JR 時代のA寝台 | JR 時代のB寝台 | ||||
列車番号 | 1018 | - | 列車番号 | 1019 | - | クラス | Premier 寝台 | Superior 寝台 | Superior 座席 |
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JB Sentral | 2230発 | - | Tumpat | 1700発 | - | 車輌数 | 1輌 | 3輌 | 4輌 |
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Gemas | 0140 | - | Wakaf Baharu | 1716 | - | 車輌の形式と数 | 14個室 | 8+1コンパートメント | 横4座席 16列 | ||
Kuala Lipis | 0610 | - | Pasir Mas | 1733 | - | JB Sentral から | 上段 | 下段 | 上段 | 下段 | - |
Gua Musang | 0827 | - | Gua Musang | 2113 | - | Kuala Lipisまで | RM 105 | - | RM 47 | RM 56 | RM 34 |
Pasir Mas | 1252 | - | Kuala Lipis | 2252 | - | Wakaf Baharuまで | RM 147 | - | RM 56 | RM 65 | RM 43 |
Wakaf Baharu | 1311 | - | Gemas | 0339 | - | Tumpatまで | RM 150 | M 110 | RM 57 | RM 66 | RM 44 |
Tumpat | 1330着 | - | JB Sentral | 0720着 | - | - | - | 注:1輌に34ベッド | - |
マレー鉄道の全線、全種列車・車両に乗車する建前を掲げているイントラアジアですから、マラヤタイガー列車にも是非乗らねばと思っていました。そこで上記のように2012年6月中旬の月曜日夜、JB Sentral 発に乗って、終着駅手前の Wakaf Baharu駅で翌日昼過ぎに下車しました。
なおマレー鉄道の 3種類ある一等寝台・座席については、1種類にしか乗っていません。その運賃の高さから未だちゅうちょしている次第です(笑)。
JB Sentral 駅20時30分発のマラヤタイガー列車に乗るために、KL Sentral 駅発 14時16分発の Ekspres Rakyat号の切符もあらかじめ買っておきました。どちらの列車も e-Ticket で購入しました。Ekspres Rakyat号は時刻表上では JB Sentral 駅に20時02分に着くことになっているからです。ただし20数年マレー鉄道を利用しているイントラアジアですから、1時間ぐらいの遅れはあらかじめ見込んでおきました。
たとえ1時間遅れても22時30分の発車には十分間に合うとの読みでした。しかし Ekspres Rakyat号が実際にKL Sentral 駅を発車したのは予定より1時間ほど遅れた15時15分頃です。 そしてJB Sentral 駅到着は結局1時間半も遅れた 21時40分でした。さすがに最後は少し焦りました。
このほど左様に、マレー鉄道の運行は相変わらず時刻表を守れません。 マレー鉄道は何十年もこの時刻表非遵守運行を続けており、問題は時刻表に沿って運行できない、しないことを職員の誰もがなんら恥じていないことです。だからいくら遅れようとも、遅れると駅での案内放送がある程度です。列車内で遅れを説明する案内放送はまずないし、それを詫びるような車内放送はほとんど聴いた記憶がない。
まあ、侘びの言葉など期待していないしどうでもいいのだが、時間遵守運行をマレー鉄道の使命とするような気概は窓口であれ、車内の車掌にであれ、駅員にであれ、利用者に伝わってきませんな。
ところでマレー鉄道西海岸線はもう何年も前から複線電化プロジェクトが進行中です。クアラルンプールからジョーホールバルまでの南部路線中、Kmuter 電車の走行するスレンバンまでの区間はずでに90年代に複線電化化させているので、それ以南での工事が進行中です。車窓を眺めていると、既存の鉄路の脇に複線がすでに Gemas 辺りまで大体完成しています。電化工事はまだほとんど始まっていないようなので、南部路線全体で複線電化工事が終わるまでには、あとまだ数年はかかることでしょう。
さてマラヤタイガー列車はJB Sentral 駅を予定通り 22時30分に発車しました。出発した時点ではがらがらでしたが、ジョーホール州内の駅で停車する毎に乗客が増えて、2等である Superior寝台車は、恐らく8,9割程度ベッドが埋まったようです。1等寝台車であるPremier 寝台はどの程度売れていたのかは個室のためよくわかりません。
イントラアジアで日本でJR時代のブルートレインに乗ったことが一度もありません。国鉄時代にブルートレインではない寝台車のB寝台に1,2回乗ったことがあるはずですが、内部の様子の記憶はありません。イントラアジアは20歳前から旅好きでしたから、国鉄時代に周遊券を利用して各地に出かけたけど、寝台車を使ったことはほとんどなかった。つまり座席で寝た。
ということで、マラヤタイガー列車のPremier 寝台は見るもの乗るのも全く初めてと言えます。
マレー鉄道の通常のPremier 寝台(韓国製車輌)は車輌の通路を挟んで両側に上下段のベッドが蚕棚式に並ぶデザインですが、マラヤタイガー列車のPremier 寝台はドアなしコンパートメントに上下段2組のベッド計4個のベッドが並びます(下右写真)。ですから、寝るという観点からはこちらの方がより相応しいと感じました。さらにベッドカーテンもしっかりしている。
翌朝7時過ぎ、夜明けとともにクランタン州の入り口であり中規模駅である グアムサン駅に着きました。すると車内放送で駅の売店兼カフェで朝食が買えるとのアナウンスがありました。多くの乗客は列車を降りてナシルマやコピーの文くす(持ち帰り用)を買っていました。イントラアジアは小さなマレー菓子を買ってそこのテーブルで食べましたよ。この駅で対向列車待ちもあり、小1時間も停車したのです。
ところでグアムサン駅はすっかり新らしくなっていました。旧駅から数十メートルぐらい離れた場所に駅全体が新築されたのです。ただ駅の背景である急壁の岩山は同じなので、グアムサンだと実感できました。
東海岸線は全て単線非電化ですから、急行列車といえでも頻繁に対向列車待ちがあります。下の写真はそんな対向列車待ちをした、小さな田舎駅を写した写真です。
Tanah Merah 町あたりになれば、山野風景にもほぼ終りです。こうして下車駅のWakaf Bharu駅に13時10分ごろ着きました。時刻表通りの時間といえます。マラヤタイガー列車、というより東海岸線はその次の駅 Tumpat が終着駅です。Wakaf Bharu 駅は州都コタバルへ向かうのに一番近い下車駅であり、コタバル中心部までバスで10分ぐらいの距離です。