手工芸センターと芸術家の小屋(Kompleks Kraf & Artists Colony)


マレー民芸品などお土産の店がたくさん入居しているのは、よく知られたセントラルマーケットです。チャイナタウンの隣でありバス駅とLRT駅が至近にあることから足の便がたいへんいいため、常に人を引き付けていますね。それに比してこのクアラルンプール手工芸品センター(Kompleks Kraf & Artists Colony)はKLの中心部にあるとはいえ、足の便がいささか悪く、たまに訪れても混雑していることにはこれまで一度も出会ったことがありません。手工芸品センターの品はほぼマレーシア製品に限られており、この点が東南アジア他国製品をたくさん販売しているセントラルマーケットとは違います。その展示の見易さと館内の快適さはセントラルマーケットをぐっとしのぐと思います。

残念ながら市内観光のツアーコースから多分外れているように見受けます。その理由はツアー業者にとって観光客を連れてきても手数料が入らないことからでしょう。決して便利な場所ではない所に(複数地点)、観光バスまたはバンツアーグループ専用の土産物店があることをIntraasiaは知っています。そういう場にはいつもバスが停車して、団体客が出入りしているのをよく見かけます。こういう観光ビジネスをしている限り、いくら手工芸品センターのような専門施設を設けても、団体ツアー客の大多数は訪れることがありません、というよりその存在さえ知ることなく終わってしまいます。

手工芸品センターで見かける外国人観光客は、やはり欧米系の旅行者が多いように見えます。それは彼らの旅行スタイルが、観光バスで土産物屋に連れて行かれることが主流ではないことを反映したものでしょう。その他訪問客を見ると自家用車を持っている地元の人や在住外国人が友人を連れてやってくる場合ですね。

自由旅行者が訪問される場合は、ブキットビンタン街の Pavillion から又はスルタンイスマイル通りのイスタナホテルを基点にして、徒歩15分ぐらいでしょう。目印は観光コースに入っているマレーレストランの Seri Mulayu とPrince Hotel です。そこから徒歩数分です。

ゆったりとした敷地に4つの主建物があり、その内2つが展示販売をしています。この建物の1つが2000年中頃から、いくつかのバティックと織り布のいくつかの専門店が入居してHouse of Batik & Tenunと名づけられました。
残る一つは手工芸品博物館(Craft Museum)で9時から17時までオープンです。この博物館は長い間閉鎖されていたのですが、最近再オープンされて、以前より展示が見やすくなりました。展示品数が多く説明を読みながらゆっくり見れば数時間はかかるでしょう。

以上の事から、民芸品センターはセントラルマーケットは構成とそのあり方が相当違います。錫ピューターからバティック、手工芸品、置物など展示販売品は豊富ですから、ゆっくり見て買うもよし、買わずもよしですね。下の写真は展示の様子とマレー民具ゲーム器のCongkak です

正面 館内  


手工芸品博物館のある建物の階下が冷房の効いた食堂になっていますので、休憩に使えます。それまで食堂と同じ地上階にあったバティック実演と自分で描いてみようコーナーは、建物横の場所に新しく建った小屋に移りました(2002年に確認)。小屋は3棟ほどあり、それぞれに違った作風のバティックアーティストが常駐していますので、訪問者は誰でも大人1回最低RM15払えば、35Cm X 50Cm ほどの布にバティック描きを経験できるのです。バティック専門家の女性が実演するとともに、訪問者のバティック描きにアドバイスしてくれます。彼女に聞いたところによれば、1回大体1時間ぐらいかかるとのこと。(下の写真2枚は以前の場所のもの)

このバティック小屋の隣には簡単な陶芸が楽しめる小屋が1軒あります。Songket布の織り方を実演するコーナーは別の建物BatikとWeaving ギャラリーに移りました。

バティック実演 

さてこの手工芸品センターと同じ敷地内に、芸術家の領域という場所が設けてあります。右の写真で示しました木造の小屋、クランタン州の伝統民家である wakafにちなんでいます、が9棟立ち並んでいます。それぞれの小屋にはマレーシア語の花の名前がつけられており、例えばGalari Renanga,各棟に2人の芸術家が”入居”しています。ですから合計18人の芸術家がここに常駐しており、いずれもプロでそれなりに名の知られた芸術家だそうです。

この小屋がユニークなのは、それが芸術家のアトリエでありギャラリーでもあるのです。ですからそれぞれの仕事を見物しながら作品を鑑賞、買い求めることができます。もちろん見物だけでも問題ありませんから、ゆっくりとそれぞれの小屋を回ってください。Kompleks Budaya Kraf 手工芸センターを訪れられましたら、是非同一敷地内にある Artists Colony芸術家の領域の方へも足を運んでみてはいかがでしょうか。

小屋

この2枚のサイズ大の写真は2010年3月の撮影です
  

Kompleks Kraf & Artists Colonyの住所
Craft Complex, 63 Jalan Conlay, 50450 Kuala Lumpur
Tel: 03-2162 7533  www.kraftangan.gov.my
開館時間: 毎日午前8時45分から夕方6時まで


過去情報
筆者が訪れた時、何人かが1棟に集まってちょうど昼飯中でしたので、見物がてらその一人とちょっとおしゃべりしました。左下写真の彼は名前を Yusof Gajahといい(下中の写真)、日本で個展を開いたこともあるのです。彼の絵を入れた日本のカレンダーが彼の小屋に飾ってありました。子供むきの絵本、イラストとか絵画(右下の写真)が専門のようです。たいへんきやすい方でしたよ。



99年1月24日掲載、2010年3月5日最終更新