中秋の節のお祝い風景


(99年の)9月24日は旧暦の8月15日つまり中秋節です。別名Moon Cake Festivalというくらい月餅(いわゆる餅ではない)ときっても切れない関係にあります。何でも月餅は元の時代末期にその支配に抗して明を樹立した故事に由来するとか。伝統的に月餅の中身は、ナッツ、アズキ、ハスの実などの甘い物質でペイストリー(これ日本語で何といのかな?)で覆われてます。中には卵の黄身が入っているのもあり(右写真の方)、大体が甘い一種の饅頭です。



日本の中秋の名月つまり十五夜のお月見は、すすきと団子といもで祝いますよね(子供の時の記憶で自信がない)。どこで月餅が団子に変わったのでしょうか、ご存知の方教えてください。
一方マレーシアではその日が祝日でなくても、華人コミュニティーには大きな行事なのです。華人集中地区や華人商業街、ショッピングセンターではすでに数週間前から月餅の宣伝と販売が盛んに行なわています。(月餅はゲッペイなどと読まずにyue bing と呼びましょう)

人々は毎年この季節同じような月餅を人に贈り又は食べるとはいえ、伝統行事とはこういうものなんでしょう。尚月餅と書きますが日本語の”餅”ではありませんし、英語名の”Moon Cake”というのもちょっとおかしな語感を与えます。日本語でもし形容するなら饅頭というべきです、饅頭がすべて甘い物だけではないように、月餅にも甘くない種類もあります。さらにベジタリアン月餅、ドリアン味の月餅などというのもあるのです。

また丸い果物、特にポメロを飾るのもマレーシアの特徴で、その丸さが月の丸さと家族の円満さを象徴しているそうです。女性の中には、剥いたポメロと小さなヤムイモに、何ら欠点のない肌になる願いを込めているそうです。又月の女神にいい夫と巡り合うように願う女性もいるそうです。

マレーシアの中秋節は月餅だけでなく、ちょうちんもつきものです。ただ紙で作った伝統的ちょうちんよりも子供向けに、プラスチック、セロハンなどを材料にし動物や植物をかたどった形、漫画の主人公をかたどった形など様々な形のちょうちんです。子供はこういう楽しいちょうちんを親から買ってもらい楽しむのです。Intraasiaはもちろん月餅があればそれで充分です。

99年9月27日掲載


華人一般家庭の中秋節の祝い風景を見る


今年の中秋節の最後の日、9月12日夜、友人(華人)から妻の実家へ行くからいっしょに行くか?と電話がありましたので、さっそく同行させてもらいました。地区の華人団体などが主催する中秋節の催しと行列とはまた一味違った、一般家庭の中秋節祝いをまじかに見たかったからです。筆者の居住地区は華人地区ですから一般家庭の中秋節祝いは道路端から覗けますが、のこのことその輪の中には入ってはいけませんからね。

さて友人の妻の実家はクアラルンプールに隣接した町の一般アパート街の1画にありました。どうやらそのアパート街は華人が居住者の多数のようで、アパートの建物手すりや軒先にちょうちんが吊り下がっていたり小さなろうそくが点してあるのがあちこちで目に付きます(下左の写真)。こういう祝いを喜ぶのはもちろん子供が中心ですが、親がろうそくとちょうちんに火を点したりするのを手助けしています。アパートの上階の1画の家族はたくさんのちょうちんを見事に吊していましたのでそれを写したのが下右写真です。手すりにろうそくを点しているのがわかりますね。

 

友人夫妻の2人の子供、3才から5才くらいの男女、は実家を訪れていたその妻の姉妹の子供と一緒にろうそく点しを試したり、りちょうちんを振って遊ビ始めましたので、それを撮ったのが下中の写真です。下右の写真に示したのが、2人の子供のちょうちんです、スーパーや商店で売られていたちょうちんを見ても、こういうふうに漫画主人公や動物を模ったちょうちんが多いようです。Kitty とかピカチュウのちょうちんも隣家には飾ってありました(日本大衆商品の人気度のすごさですな)、そうする前にこの家のおばさん、つまり友人の義母が供え物の横で紙を燃やしました、下左の写真。いわゆる供養の意味なのでしょう。

  

おばさんは、昔ほど皆が中秋節を大きくお祝いしなくなったと言ってましたが、それでも華人コミュニティーの大事な且つ楽しみな行事であることに変わりはないでしょう。この何の変哲もない一般アパートの華人住民たちが、子供中心とはいえ、自然に中秋節を楽しんでいることが筆者にも感じられました。この友人の妻の家でも、彼女の姉妹兄弟がその夜集まってきたようにです。

 

途中で遅い夕食となり筆者もごちそうになりました。上左の写真で家庭料理がテーブルの上に並べられていますが、茶碗の並べ方に注目してください、当然ながら日本スタイルと違うことがお分かりですね。上右の写真は中秋節用のイモです、これは中国産だそうです。

テーブルの後ろにあるのは先祖奉りの棚です。大抵の華人家庭にはこういう先祖奉りの棚があるはずです。1段落して子供たちは扉の外でまだ遊んでいますが、大人たちは居間でテレビの香港番組見ながら歓談です。華人家庭のごくありふれた一時ですね。筆者も月餅のおすそ分けをもらって食しました。こうして中秋節の夜は過ぎたのです。

2000年9月16日掲載