デーパーバリ祝日とインディアンモスク通り


ヒンズー教徒の一番のお祭りであるデーパーバリ(DEEPAVALI)はマレーシアの国家祝日でもあります。ですからマレーシアの3大民族の一角を占める(総人口の1割弱)インド系マレーシア人にとって、この Festival of Lights と呼ばれるデーパーバリは重要な意味をもっています。

インド系マレーシア人は全州にまんべんなく住んでいるわけではなく、半島西海岸側にかたまっています。とりわけスランゴール州とクアラルンプールが最大の密集州・都市です。なかでも居住地区でもある Sentul 地区と KLの中心地に程近いその名も Jalan Masjid India通りには、たくさんのインディアンショップが軒を並べています。

この通り名の由来はこの通りに建つモスク(マレーシア語でMasjid という)にあるのでしょうが、このモスクの礼拝者を眺めていると、インディアンムスリムとかパキスタンとかバングラデシュ、いずれもイスラム国、などマレーシアに住む南アジアのムスリムが多いように見受けられます。
後で知ったのですが、この通りは昔はインディアンムスリムの商売地だったのです。

写真はこのモスクで金曜日の礼拝をするムスリム。金曜日なので全員が中に入りきれず、モスク前の道路から礼拝しています。

このJalan Masjid India地区にはホテルもいくつかあるのですが、日本人や白人の団体客、ビジネス客向き又は好むホテルは一軒もありませんので、普段からそういう観光客があまりうろつかない場所です。

インド系の店・大衆レストランばかりでなく、マレー系の店・屋台ももちろんあり、KLの観光・商業中心 Bukit Bingtang 街や山の手とは相当雰囲気が違います。ここら辺が多民族国家マレーシアの興味あるところですね。
インド人の民族衣装サリーやマレー人の民族衣装バジュクルンの店がいっぱい並んでいますよ。写真はその店です。

またこの隣にある KL有数の大通り Jalan Tuanku Abdul Rahman にもいくつかのインディアンショップがあり、Jalan Masjid Indiaを核として、この一帯には三軒のインド映画専門映画館があります。 ヒンズー語映画とタミール語映画を常時上映しています。

写真はJalan Masjid India の突き当たりにあるショッピングセンター "Sumua House" 内にある、ミニ映画館のインド映画看板です。

さてこの Jalan Tuanku Abdul Rahman 通りと Jalan Masjid India 通りにはさまれた、以前は汚い裏通りにすぎなかった路地が最近きれいに舗装されて、たしか屋台禁止になったはずですが、このデーパーバリー前と当日の10日間ほどはお祭り準備用屋台街になりました。

昼頃から夜おそくまで開かれているそうで、デーパーバリ祝いの準備をするインド系マレーシア人向けの衣料、装身具、飾り物、カセット、生花・造花、お菓子を売る屋台店が狭い通りいっぱいに並んでいます。左の写真。


この屋台店街では、Jalan Masjid India 通りではいつも売られているサリーや装身具に加えて、祭の装飾具や、普段はインド大衆レストランでしかみない甘い菓子類がいろいろ並んでいます。

筆者も味見に買ってみました。laddu とか jelabi など名前はついているのですがどれがどれだか忘れました。その甘さは半端ではありませんよ。

そのあたりにいた商売人に聞くと、菓子類はマレーシアで作っているものばかりだが、その他はインドから輸入しているものが多いそうです。それだからかどうか知りませんが、新聞によれば、こういう屋台店で売られている祭用品も、今年はリンギット安を理由にして値上がりしているそうです。

今年のデーパーバリは10月30日木曜日、多くの人にとっては4日間の長い週末になりますね。

97年10月25日記