マレー食・料理は当然マレーシア全土どこでも食せます。もちろん田舎へ行けば店の選択は減り、都会ならどの場所のどの店にするか迷うことになります。独立した高級マレーレストランは極めて数が少なく、ホテルの中で営業している場合がよくあります。その場合でも西洋料理もマレー料理も供するというレストランがよくあります。こういった高級マレーレストランやホテル内レストランは当然ながら値段は高く、料理自体は上品さをまとっています。おまけにサービス税もかかります。
さてここで紹介するマレー大衆食・料理はそういうレストランでのマレー料理ではなく、街にある店、裏通りの屋台、ホーカーセンターの屋台店などマレー大衆食堂・屋台で供される料理です。普通のマレーシア人、特にマレー人が日常食としているもので、筆者ももちろんですよ、値段は大衆価格であり、味は大衆味つまり旅行者や外国人向けに味付けを変えたり辛さを手加減はしていない、本当の大衆食です。
大衆食堂といっても看板にそう書かれているわけではありません、一般に店の看板にレストランとか店名だけ書かれていますが、実態は大衆食堂です。この種のレストランはよくコーヒーショップとも呼ばれますが、コーヒーだけを供しているのでは全くありません。マレーシア語で言えばKedai Makanan(お食事処とでもいう意味)、また屋外屋内を問わず屋台式の店はGereai Makanan(食事のための小さな店のような意)、Warungなどとマレーシア語で呼びます。こういうGerai Makananの集まっている場所をHawker Centreと英語呼びしたり、Medan Seleraなどとマレーシア語の看板が出ている場合もあります。大体の区分はあってもどこからがレストランでという厳密な定義はありません、自分の店をどう呼ぶかはまあ店主の勝手ですね。
クアラルンプールにいうようと他の町へ出かけようと日常的に大衆レストランか屋台で食事している筆者は、このマレー大衆食・料理の写真を以前から撮ってみたかったのですが、沢山の写真をまとめて撮らせてくれるような店を探せませんでした。最近それに成功したので、ここで一挙に30種近くの料理写真を掲載しておきます。
以下のそれぞれの写真の下に書き込んだ料理名又はコメントは、筆者の知識に加えて店の女主人の言葉をメモったもので、綴りがよくわからないもの、発音がよく聞き取れなかったもの、正式名でなく通称名、などが混ざっています。メニューがあるわけでなく、聞き取りだけでそれも全くなじみのない名前が出てくるので、自信のないものはカタカナ表記にしてあります。通常注文する時、「これ」とか「あれ」で十分ですし、自分で品をよそうので、名前を知らなくても困らないのです。それに正しい名前を全部知っている人はマレー人でもそれほど多くはないと思います。
これがこの日の筆者の昼食です。上記の料理から3品選びました。パイナップルのカレー煮は筆者の好物なのだ!2匹の小さなイカン マシンは本当に塩辛かったです。どこのマレー大衆食堂や屋台でも同じですが、皿に盛ったライスのうえに自分で好みの品を好きなだけよそっていいのです。左の小皿(下右の写真はその拡大)にプタイとセロリと多少のBelacang を載せました。これでしめてRM3以下という大衆的価格です。肉類か魚を選べば当然もっと高くなりますよ、といって普通の方なら1食RM5ぐらいまででしょう。
尚この店もマレー社会では通常の”食べた後に自己申告の値段決定法”ですが、筆者は料理をよそった後すぐそれを見せて料金を支払います。この奇妙な自己申告制の解説は、「今週のマレーシア」第80回のコラムをご覧ください。
下の3枚の写真に示したように、この店はGerai Makananタイプの店で、筆者がその付近へ行った時はたまに訪れて昼食をとるのです。クアラルンプールの市内にある比較的知られた場所なのに、いつもあまり込んでいませんからゆっくり食事できるのです。客層は近くの務め人とか長距離バスの乗客であるマレー人ばかりです。華人はめったに目にしません。多分そのせいでしょう、店の女主人はごくたまにしか行かない筆者の顔を覚えているのです (もちろん私を華人と思っている、こういう場所では筆者はマレーシア語しか使わないから)。
そんなことから前回食べに行った時、料理の写真を撮りたいと尋ねたらOKだったので、今週出かけていって店のショーケースに並べてある料理(下中の写真)を全部撮りました。小さな規模の店ですが、種類は30種近くもあるのです、小さな店の規模に比して料理の種類はずっと多いですね、しかも味は大衆マレー料理としてはいけると思います。下右写真がこの店のある場所の様子です、昼時でもだいたいこんな程度ですよ。