TEH TARIK テータレッの紹介


Teh Tarikはマレーシアを代表する大衆飲物ですから、大衆食堂(コーヒーショップという)や屋台にはつきものです。尚コーヒーなら Kopi Tarikコピタレッといいます。Teh Tarikを味わえるのはインド系の大衆食堂と屋台が一番でその次がマレー系のそれです。華人の大衆食堂と屋台では供されませんよ。このように至るところで飲めるし、値段も1杯70セントから1リンギットと安価です。

ですから年1回 紅茶メーカー、確かマレーシア産のBoh Teeだと記憶している、がTeh Tarikコンテストを催します。プロの屋台人などが出演して”Tarik”の業を競うのです。

Tarik とはマレーシア語で”引く” という意味です。「Teh を引く?」 と実際にご覧になったことのない方は不思議に思われるでしょう。そうです、Tehを引くようにするのです、つまり練乳を入れたTehを混ぜるスタイルが”引く”ように見えるのです。 下の写真のような動作を数回重ねると、紅茶と練乳がほどよく交じり合い、グラスにつぐと多少泡立っているぐらいがちょうどいいのです。




先日筆者はペナンへ行った時、地元雑誌でも紹介されているあるインディアン屋台で、Rotiを食べTeh Tarikを飲みました。場所は Jalan Penangから Jalan Argyllへ曲がりJalan Transferと交差する近くの空き地です。その時写した写真がここに掲載したものです。左の写真は屋台の正面です。

このようにTeh Tarikを作る様子を眺めるのは屋外の屋台の方がいいのです。大衆食堂だと普通は店の奥のコーナーで飲物を準備するので、こういう写真のような姿がよく見えません。マレーシア旅行の際にはTeh Tarikを飲みながらこういう演技も楽しんでください。

99年6月27日掲載



参考:以下は2002年10月にゲストブックに書いたものの再録


日本の茶や中国茶はミルクなど混ぜない茶本来の味を楽しむ飲み物ですが、チャ又はティーにミルクを混ぜるのは、多分多くの民族で好まれるのではないでしょうか。この違いは茶の葉の種類と乾燥と発酵のさせ方による違いだけによるものだろうか、それともある民族のミルクに対する嗜好の違いも加わっているのだろうか、これは専門書をひもとかないとわからないでしょうね。

マレーシアのテータリは、ミルク混ぜ紅茶ですから、それ自体は全然珍しいことではありません。その混ぜ方がユニークであるのです。最近ではテータレコンテストが頻繁に開かれて、混ぜ方のわざと人の目引き度を強調するスタイルでテータレを売り込んでいますが、これは単なるショーであり、テータレ本来の自然な混ぜ方ではありません。

大衆食堂や屋台で店のアンちゃんやおじさんが上から下へ軽く落しながら数回混ぜる、それを引くというマレーシア単語Tarikで表す、程度が一番美味しいのです。なぜなら数回程度引く事によりミルクと紅茶が適度に混じり且つ軽くあわ立ちます。その行為によって熱さが多少さめますが、熱さをあまり好まないマレーシア人には好都合ですね。

その引いたつまり混ぜたミルク紅茶をグラスで供するのが、一般的な大衆テータリなのです。カップで供するのはごく少ない、テータリは取っ手のない単純なグラスが似合います。店によってはグラスを受け皿つまりソーサーに乗せて出す店も中にはある。グラスなので多少座りが悪いが、カップとソーサーでなく、グラスとソーサーの組み合わせという不釣合いも味があってよいのです。

尚猫舌のマレーシア人のなかには、この受け皿付きグラスのテータリを受け皿に注いで、受け皿に口を近づけて飲む人もいます。これはたいへんださく且つ”田舎者”の飲み方なので、都会の真中辺りではまずお目にかかれませんが、場所によっては又は田舎では別に珍しい飲み方ではありません。まあ旅行者の方にこの飲み方はお勧めはしませんし、洗練された都会の貧者たる(笑)私でもこういう”ダサい”飲み方はしたことがありませんなあ。