マレー人の女性が日常的に着ている民族衣装に Baju Kurung と Baju Kebayaの2種類があります。Baju Kurungのほうはいわばワンピースというところで、ゆったりと身体を包みこみます。ムスリム女性は身体をなるべく露出させない、身体の線を強調しないということから、もちろん丈はかかとが隠れるほどの長さでウエスト部分もほとんどくびれていません、中にはすそを引き摺るかのようにして歩いているマレー女性も見かけます。
それに対してKebaya(左の写真)はもう少し女性らしさを強調した衣装です。こちらはBajuと呼ばれる上着とKainと呼ばれるスカート部(右の写真)からなる 2ピースです。ウエスト部分も絞った結構身体の線を強調した作りになっており、見本写真でお見せするようにバリエーションがあります。
どちらも好みの生地を選び、それを仕立て屋で仕立ててもらうのが普通です。もちろんレディーメイドもありますが、オーダーメイドが極めて一般的です。マレー女性はそれぞれ自分の行きつけの Kedai jahit仕立て屋さんがあるようです。ハリラヤの前には皆が新しく仕立てるので仕立て屋さんが混むとか。
マレー人用立てのこういう生地屋さんと仕立て屋さんが集まっているのは、クアラルンプールならTuank Abdul Rahman通りの MaraビルディングからTun Perakに交差するまでの一帯、その裏側にあたるマスジットインディア通り、チョーキットマーケット一帯、でしょうね。もちろんそこだけではなくマレー人居住地近くならどこにでもあるのですが、上記の一帯が店の種類も数も多いのです。なんとといっても上記の通りは買い物だけでなく人の多く集まる地域でもありますから。
さてこのマレー衣装Kebayaを、当ホームページにマラヤ大学留学記を寄稿していただいてるコタバルさんが1着仕立てることになりました。そこでIntraasiaは彼女といっしょに仕立て屋さんを探し、オーダーメードの様子を取材してきました。モデルはコタバルさん自身で、会話内容(マレーシア語)は彼女と筆者がお店の人と交わしたものからです。
コタバルさんは数日前に自分で生地をすでに購入していました。買った場所は上記 Tuank Abdul Rahman通りにある小さな生地専門屋さんで、値段はRM160だそうです。店によって生地だけでなく仕立てもやっている所もありますし、仕立て屋さんは仕立てだけでなく多少の生地も売っているのが一般的です。
右の写真のように生地に疑似ブランド名がはいっているのがあります。他にもCartierとかの有名ブランド名が使われているそうです。コタバルさんに教えられて筆者ははじめてそれを知りました。マレー女性もブランド志向なのかな。
そこでSogoデパート前で彼女と落ち合った後、その店の人が薦めたというMaraビルディングへ向かいました。尚Sogo近くのKompleks PertamaとCampbell Complexにもたくさんのマレー衣装の仕立て屋がテナント入居しています。というのは、この2つのビルは多くのマレー人が買い物などに集まる混合ショッピングビルでもあるからです。
Maraビルはマレー人財団所有する青い色をしたビルで、Kompleks Pertamaの隣ですから簡単に見つかります。LRT高架電車なら Bandaraya駅、乗合いバスなら Sogo前で降りて徒歩数分、便利な場所ですよ。
そのMaraビル2階に仕立て屋とマレー衣装の店が何軒か集まっていましたので、2、3軒尋ねたあと、下記写真のESME TAILORに彼女は決めました。やはり、どの店にするかはなかなか難しいものです。尋ねた情報から判断すると、どうやら Baju Kebayaも Baju Kurungも1着の仕立て代はRM65か RM60というところです。仕立て日数は1,2週間ぐらいかります。
ただこの仕立て屋はその店内で仕立てますので(右の写真)、急ぎつまり2,3日でも仕立ててくれるとのことです。
店の仕立てさん、といってもおばさんですが、が親切に対応してくれたことと、そこは店内でカットと裁縫をするので、それが決め手になりました。そんなに大きな店でも人目を引く造りではありませんが、親切な対応してくれればこちらも気分よく感じますからね。
さて彼女のサイズ測定にかかる前に、他の衣装も試着して写真にとりたいからと、店内に飾ってあるオーダーメイドの衣装を2着試着させてもらったのが次の写真です。うれしそうにコタバルさんがモデルを務めている(左側の写真)1着はちょっと大人っぽい柄とつくりです、もう1着(右側の写真)はBaju Kurungです。
コタバルさんは以前クランタン州でBaju Kerungを1着仕立てたことがあるそうで、小柄な彼女によく似あってますな。二つのマレー衣装の違いがなんとなくおわかりになることとおもいます。
両種類とも生地の種類に合わせて襟と胸口周りのバリエーションが好みで仕立てられますし、Kubayaはさらに刺繍を合わせ部分に加えたり、上着の丈をひざより短くまたは長くしたりと注文できます。上着の丈は前側を後ろ側より幾分長くするのが正式です。
さてそうこうしているうちに店の女主人がやってきましたので、彼女のサイズ測定です。服の上から身体の10個所ほどを計り、仕様の紙に書き込んでいきます。先ほど仕立てのおばさんが一度計りましたが(右の写真)、やっぱり女主人にもう一度測定してもらった方がいいのです。コタバルさんもそう言ってました。
サイズはインチで記入しますので、自分の身体サイズと注文サイズはインチで覚えておいた方がいいかもね。
Baju Kebayaには肩パッドを普通はいれますが、初めは 「私は肩がこりやすいので、肩パッドはいらないです」と言っていたコタバルさんも、店の人の勧めでパッド付きにしました。「薄いパッドにして下さい。」とコタバルさん。気にいらなければ後で簡単にとりはずせるそうです。
左の写真は彼女が購入した生地です。みな一定の大きさに断裁するようで、小柄な彼女ですから確実に余るとのことです。
そこで彼女は、「余った生地でTudung(右の写真の女性が頭にかぶっているスカーフのこと)を作って下さい。」と頼みましたが、「そんなにたくさんは余らない、せいぜいハンカチができるぐらい。」とのことでした。
彼女の買った生地はシルク、きれいな色と柄です。女性はこういう楽しみがあっていいですね。
次はどのような型にするかの相談です。コタバルさんは女主人のアドバイスを聞きながらリクエストしていきます。胸口の開け具合、襟と合わせの形、上着丈の長さなどです、彼女は一般的な長さであるひざが隠れるぐらいの丈に注文しました。
コタバルさんの生地は結構アクセントのある生地ですが、それでも上着の合わせ部分に変化を持たせようと、彼女は刺繍の取り付けを注文しました。これが仕立て代の他にチャージされてRM35でした。あとで彼女いわく、「予定より予算オーバーしちゃった。」
私も刺繍はあったほうがいいよといいましたけど、その部分の縫製は手が込んでそうで、超過料金も致し方なさそうですね。尚上着の前留めは一般にホックになります(右の写真)。ボタンではありません。それでも後ろでジッパーで留めるスタイルもあり(上記写真のKebaya)、バリエーションとしてこういうことも注文できます。
「ちょっとセクシーに見せたい」と可愛いことを言っていましたコタバルさんは、スカートの前部分にスリット入れるように、また胸の明け具合も多少大目にリクエストしていました。尚スカートにスリットを入れないことも、巻きスカートにすることもできます。こうして試着と仕立て用のサイズ計測と各種リクエストや質問で1時間半かかりました。
店の女主人によれば(左の写真)、最近は洗うのが簡単な生地が好まれるとか、アイロンがけが簡単ですからね。生地は普通東海岸で作られます。コタバルさんの買った生地は中程度の値段で、当然ながらピンからキリまで値段幅は広いようです。柄も色も派手な物から地味な物まで様々です。
さて出来上がりはどうなるでしょうか。2週間後の引き取り(12月15日予定)が楽しみですね。
店の裁縫おばさん2人と女主人はあいそよく且つ親切にいろいろとアドバイスしてくれました。これで出来上がったkebayaがきつくも緩くもなく、しっかりした縫製で彼女のリクエストとおりであれば、一番いいのです。せっかく協力してくれたコタバルさんのために、彼女が満足できる仕立て上がりであることを願っています。
かかった費用:生地代 RM150(RM10値切ったため)、仕立て代RM60、刺繍代RM35の合計 RM245
店の名前: ESME TAILOR (左の写真、女主人の家族のイニシャルをとってつけたそうです)
住所: Lot2.29, 1F Medan MARA (右の写真、日本流に言えば2階です)Jalan Raja Laut、Kuala Lumpur
営業時間: 月曜日から土曜日まで 午前10時から午後7時
それでは次回の Kebaya仕立てでき上がり編をお楽しみに。