マレーシアでの現代日本ヤング文化の人気と浸透度を探る(その2) 日本のキャラクター商品編
(その3)日本コミックとアニメ編 ・ (その4)日本の人気ヤングファッション
(その5)日本ポップス紹介の広東語ラジオ番組DJにインタビュー ・ペナンの屋台・大衆食堂料理の勧め
筆者は現代日本のヤングファッションや人気スターとコミックに関してはほとんど知識がありませんでした。ですからここに書いたスター名、コミック題名とかファッションに関してそんなの時代遅れですとか綴り・名前が間違っている、と言われることもおきるかもしれません、しかしこのコラムの目的はどれくらいマレーシアヤングが日本のヤング文化に興味を持っているかの紹介なので、そのあたりはご了承ください。尚間違いは指摘して下さい。(掲載後指摘によってすでに幾つか訂正しました)
”画像あり”としたのは、旅行者・在住者のためのページにある「ファッションとヤング文化」内の該当ページに写真だけ載せていることを示しています(クリックすると開きます)。このコラムに載せるとページが重くなるので、別ページ立てにしたわけです。そちらも参照して下さい。
日本のキャラクター商品を売っている店とブースはもう至るショッピングセンターと商店街にあります。単にクアラルンプールの有名ショッピング内の店やブースだけでなく、郊外の小さなショッピングセンターや小さな商店街の店も置いてます。都市だけでなく地方の町でもこの傾向は変わりません。店舗の種類で言えば、ギフト、衣料品、小物アクセサリー、文具、カバン、おもちゃなどの店ならどこでも多少を問わず日本のキャラクター商品があります。ですから日本のキャラクター商品、その多くは海賊版でしょうが、を目にせずにショッピングセンター、商店街を歩くのは不可能といっても言い過ぎではありません。
キャラクターの中でHello Kitty グッズが種類では抜群に多い。ごく最近Sungai Wang Plazaの3Fに専門店がオープン。日本から直輸入との事で様々なKitty シリーズの小物が売られている。さらに専門店ではないが、Hello KItyキャラクター商品を主に置いている店もSungei Wang Plazaだけでなくブキットビンタン街、チャイナタウンなどに何軒もある(写真あり)。間口の小さな小規模なキャラクター・人形ショップで、Kitty、ドラエモン、 クレヨンしんちゃん、セーラームーン、ポケットモンキー商品を置いているのは、もうとても数えられないほど多い。ただしこういうショップで売っているキャラクター製品は、相当程度まで台湾製か中国製などの海賊版商品でしょう。
チャイナタウンのRexシネマ前のギフトショップは実に様々なキャラクター商品を売ってるが、海賊版品が多そうです、なんと韓国製のKitty グッズもある、さらにオリジナルKittyグッズもあるという面白い商品構成だ。
チャイナタウン対面にあるS&Mプラザ、小さな店がごちゃごちゃと入居した大衆的なショッピングセンターですが、その地上階と3Fにはギフトショップが多い。狭い場所にこれだけギフトショップが集まっている場所は少ないが、そのどの店もすらっとキャラクター商品を並べている、特に3Fは驚くほどその種類が豊富である。
今年チャイナタウンで、主に国外から輸入されたとみられる偽者Hello Kittyを大々的に売っている店が(上とは別の店)、著作権法の適用を受け当局の取り締まりを受けたと報道されました。しかしマレーシアのこれまでの例から言って、偽物が多少減る事があったとしてもなくなるとは到底思えない。
キャラクター商品形態は人形、飾り物、時計、子供用のTシャツなど衣服、文房具、バッグと袋、枕やタオルの寝具類、アクセサリーなど様々な種類です。人形ではたれパンダ、ウルトラマンなどもある。ドラエモンはあいかわらず多く、人形だけでみれば一番多いかも(写真あり)。子供用衣服ではクレヨンしんちゃん、ドラゴンボール、Kittyなどが多いようだ。例、ショッピングセンターの特売コーナーで店を出していたドランゴンボール子供シャツはRM18でした。
キャラクター製品ではないが、日本直輸入の携帯電話に貼るスターシールが売られているのに驚きました、その値段RM50で、普通のレストランで食事できる値段ですね。このシールには深田恭子と書いてありました。Kittyのシールもあるようです。
今年8月頃オリジナルKitty専門店が、クアラルンプールのスンガイワンプラザ3Fにオープンしたのです(写真あり)。最近そのオーナーに話を聞きました。筆者の意図を説明したら快く答えてくれました。
「あちこちでHello Kitty商品が売られてますが、あなたの店は全部本物ですか?」
「全部日本のサンリオから直接輸入しています。2週間ほどで届きますよ。ですから海賊版Kittyより2,3倍は高くなります。日系デパートにあるKitty Shopを別にして、私の店はマレーシアで初めてオリジナルのHello Kittyグッズを専門に販売する店です。」
そのようです、筆者はこの店がオープンしたのを知って、以来時々その前通ってみました。値段が高いのによく客をひきつけているようです。
「客層は女性10代が中心ですか?」
「いや、それが25才から30前後が中心です。私も店をオープンする前は学生中心だと思っていたのですが、違います。 KItty 商品はよく知られているので、本物を売っていると聞いて客がやってくるのです、種類は偽物Kittyの店よりずっと多いし、最新の商品も毎月輸入しています。他の店で売られている偽者Kittyは中国製ですよ」
その言葉とおり、種類は圧倒的に多いし、商品は確かにサンリオのロゴとバーコードが入っています。店内の明るさと展示は優れてます。それにしてもサンリオはこれほど多種多様なKittyグッズを制作してるとは知りませんでしたね。いろいろ輸入して並べてありますが、冬に関係するグッズだけは輸入しないそうです。当たり前ですね。
「今年中にクアラルンプールの大ショッピングセンターにあと2軒同じ店を出します。サンリオからもうすぐサンリオのロゴを使ってもいいようになるはずです」
若い勘の鋭い経営者です、さすがこういうところは華人ですな。
店においてあるたとえばKittyピーチジュースは1瓶RM12という値段の高さ、それでも売れるそうです。
「店に来る彼女たちは、Kitty グッズをどんどん増やしていくのがうれしいのです。」
なるほど、そういう心理なのですね。
「人気の商品」と日本語でロゴを出した店先でオーナーのMr.Seowの写真を撮り、店内の様子も撮りました(画像アリ)。
2000年8月追記:このSungeiWang Plaza店は閉鎖され、現在Midvalleyに同タイプの店を出店しています。
このコラムその1 の”日本人スターとテレビドラマ編”で紹介した、中国語雑誌”青春”の中でも日本キャラクター商品の紹介があります。「現在日本で大変流行っている携帯電話用の飾りがあり、これであなたの電話は可愛くなります。」として小さな写真付きで説明してます。この飾りでもっとも人気あるのはたれパンダとHello Kittyだそうです。この雑誌の記者がスンガイワンで見つけたら、1個RM9.90でしたとのこと。さらにキャラクター織りの携帯電話用カバーも人気とか。携帯電話に付けるKitty の飾り?ここまでくると、筆者は携帯電話使用者でないのでピンときませんね。
この雑誌の別のページ ”ホームページ訪問”では、Hello Kittyの専門サイトを8つ簡単に紹介してます。本家Sanrioのサイトに関して、日本語サイトと英語サイトには違いがある、Kittyの友達Daniel Starとの秘密関係について書かれているのは、日本語サイトのみ、だから日本語を習った方がいいですよ!とまで書かれてます。
Kittyに焦がれて日本語習う、それもいいでしょう、華人ヤング諸君がんばってね。わからない時はお兄さん(筆者のことですよ)に尋ねなさい、とこの雑誌に投稿しようかしら。
クアラルンプールから高速道を1時間の州都スレンバンにある、この町一のショッピングセンター Terminal One内を訪れて調べてみました。各階には最低1軒のギフト、キャラクターショップがあります。全部で5、6,軒かな、比較的大きな店も小さな店もすべて、Kittyをはじめとして日本キャラクター商品を置いています(写真あり)。大抵は店の目立つ所に展示してあり、人形、飾り物、小物だけでなく、時計、袋などの種類に渡っているのもクアラルンプールのその種の店と同じです。そのうちどれだけ本物のキャラクター商品が混じっているかはわかりませんが、海賊版が多いのは間違いないでしょう、というよりそういうことを一々意識して売り買いはしないと思われます。
ペナンの人気ショッピングセンターのコムタで小物・ギフトショップを回って調べてみました。日本キャラクターの専門店はありませんが、どのショップも多かれ少なかれ、上記のようなキャラクター商品、特にKitty商品を並べています。ただたれパンダは目に入りませんでしたね。
都市部だけでなくだけでなく地方の町も調べてみました。10月末の1日ジョーホール州へ足を伸ばしました。バス乗り換えの間に、少し歩いた街道沿いの古びた田舎町Ayer Hitam、昔から陶器類の置物などを並べていることで知られた土産物街の店店の多くが、軒先に日本キャラクター人形を釣り下げていました(写真あり)。小物やカバンのキャラクター商品とかももちろんあります。見たところまず海賊版商品品だと思われます。
1泊した比較的大きな町Kluangでは、じっくり商店街とショッピングセンターを歩き、店店を覗いて見ました。ギフトショップはどこも多少に関わらず日本キャラクター商品を置いてます。1軒その専門店がありましたので、店員に、「これらのKitty グッズはどこから輸入してますか?」 と尋ねたら、「香港から輸入してます。」という答えでした。Kittyに限らず品ぞろいの豊富なギフトショップでした。
その他カバン店や子供服店などではドラエモンやKittyちゃんの図柄を描いた物を並べてます。これはショッピングセンターの同種の店でも変わりません。 要するにジョーホール州の町でも、Kittyちゃんやドラエモンは人気あるのです。
半島部ならもうどこでも日本のキャラクター商品は売っている、それも多種多様且つ安価に売っている、こう断定してまず間違いはないといえます。それほどKitty、ドラエモンは知られその手の店にあふれているのです。日本コミックはヤング華人がそのファンの中心ですが、日本キャラクター商品は民族を選びませんし年代層も幅広くなりますから、もっとも広範囲に出回っていますね。 ここまでKittyちゃんとドラエモン君がもてもてになれば、サンリオと不二子不二雄さんは幸せ者ですなあ。それとも海賊版が横行してるから悲しんでるのかな。
プラモデル又はリアルな模型
ガンダム、かぜの谷のナウシカ、ウルトラマンなど、もっとこまめに調べれば、これらの種類は増えることでしょう。
大きなショッピングセンターの模型店なら日本製プラモデル・模型を間違いなく売っている。
ビデオゲームとテレビゲーム
ゲームセンターと家庭のテレビゲームでは、世界あらゆる所に日本製品が進出しているのはよく知られていることですね。特に東南アジアのゲーム市場は日本製品のオンパレードです。Capcomのストリートファイター、Namcoの鉄拳、Segaのぷよぷよなどの有名ゲームからすぐ消え去るゲームまでマレーシアのどこのゲーセンでも日本ゲームは圧倒的人気です。家庭のファミコン、ゲームボーイ、Play Stationでも日本製のゲームが台湾制のゲームを完全に抑えています。なかには海外版でなく日本語版のまま輸入されているのもあるし、違法海賊版ゲームもある。
さらにカーレース、射撃など大型のゲーム機などもほとんど日本製です。ただし画面は海外版になっている。(写真はSengei Wang Plazaゲーム街にあるプリントごっこの機械です、たまたま日本人旅行者2人が撮っていました)
従ってゲーム市場で人気を得たキャラクターは商品化され店頭にでることになる、又はその反対、これも日本と同じです。
テレビ番組
かつてはドラエモンやウルトラマンが放送されていたそうで、そのせいかそれともそれより以前から漫画を通じて知られていたせいか、どちらかわかりませんが、とにかくこの2つはたいへん有名人?です。ドラエモンを使ったキャラクター製品氾濫の一因でもあるのでしょう。
現在放送されている日本コミックはセーラームーンとドランゴンボールです。尚ウルトラマンも最近、復活放映開始されました。
以前から日本アニメビデオがビデオショップ、レンタルショップには置いてありました。値段はRM10ぐらいです、番組の種類はアニメVCDを参照。ただ今ではアニメVCDが種類と量においてビデオを上回ったかのようです。日本語アニメに中国語の字幕を付けた台湾製がほとんどと見られますが、香港からの広東語版もある、さらに数は少ないがマレーシア製もあるようだ。
アニメVCDの種類は、クレヨンしんちゃん、セーラームーン、ドラエモン、新世紀エヴァンゲリオン、ブラックジャック、忍者乱太郎、一休さん、ちびまる子ちゃんなどは RM10から13、宮崎駿のアニメシリーズは少し高くて、1シリーズがRM20程度。中にはマレーシア語、中国語などに吹き替えた版もある。このアニメVCDは、日本コミックがこれほど出回る以前からよく目に付いたものです。
それとアニメとは言えないだろうが、コミックのVCD版も種類は少ないが売られている、テレビドラマVCDほどの枚数組みでないので、1セットRM12ぐらいから。GTOなど。
単稿本の出版形態には3種類ある。
日本の出版社から版権を取り香港又は台湾で出版している中国語翻訳版を輸入したもの。こちらが今のところ絶対的に多数を占める。とても数え切れる数ではないほど多種のコミックが輸入されている。
売価はRM5からRM8ぐらいの幅。新書サイズの単稿本という形がほとんどだが、中には単稿本サイズで少し厚いタイプもある、その場合RM13ぐらい。
そこで、あるコミック輸入会社のオフィスや書店に並んでいるものから手当たり次第に書き出してみました(写真あり)。
烈火の炎(安西信行)、Kiss in the Blue(宮坂香帆)、GTO (藤沢亨)、将太の寿司(寺沢大介)、東京番長(鈴木慧一)、永遠かもしれない(赤石路代)、なぎさMe公認(北崎拓)、Love Generation(?)、Happy Ends (藤田和子)、おしゃべりなアマデウス(タケウチ昌美)、宇強の大空(岡村賢二)、パシリスの娘(斎藤千穂)、半熟忍法帳(新山タカシ)、ママレードボーイ(吉住渉)、疾風の七星剣(山本晃)、のたり松太郎(ちばてつや)、男樹(元宮ひろし)、パラダイスレディー(かきざき和美)、おれは直角(小山由)、タイマンゴルファー勝(橋本俊二)、シャングリラ(岡村愛二)、Office麗(野々村秀樹)、フィールドのおおかみ FW陣(高橋陽一)、おざなりダッシュ(こやま基夫)、City Hunter(北条司)、陽あたり良好(安達充)、私たち結婚します(松苗明美)、金太郎(本宮宏志)、闇の末路(松下容子)、東京クレージーパラダイス(仲村佳樹」)
闇のアレキサンドリア(原千恵子)、金魚のフン(富沢千夏)、家にいぬがいるBowWou(Terry 山本)、武闘帝王(緒方恭二)、名探偵コナン(青山剛昌)、頭文字 D(重野秀一)ドラエモン(藤子不二雄)、目にキスの花束を(北川美幸)、大吉ふたたび(岩本可一)、夜が終わらない(赤石路代)、大逃亡(和田賢二)、暗闇の神話(風間宏子)、妖精国の騎士(中山星香)、レディー Q(三浦みつる)、人間凶器カツオ(刀森尊)、出番だ!ベビー(新田たつお)、もしかしてヴァンプ(橘裕)、運び屋(今野敏)、七夕の国(岩明均)、Kachiri (加藤唯史)、リストラ代紋(土光てつみ)、取締役平並次郎(新田たつお)、女医レイカ(嶺岸信明)、金魚のフン(富沢千夏)、デカスロン(山田芳裕)、オールドボーイ(土屋ガロン)、プレーボール(千葉あきお)、警視庁0課の女(篠原とおる)、
とても全部は書き写せません、ざっと見ても数百種のコミックが売られているのです。古いコミックも新しいコミックも混じっているようですが、筆者の知っているのはわずか数種でした。また上記でもおわかりのように、少女コミックも相当数を占めています。マレーシアでも少女コミックの読者は女学生だそうです。
上に書き出したようにしばしばコミック名をメモしてました。ところがその後ある漫画ショップで、台湾の出版社が用意した台湾で出版発行されている日本コミックのリストの一部を見る機会がありました。上記したコミックの数なんてほんの極一部ですね。毎月新刊が次々と発行されており、想像するに日本で出版されるコミックのほとんど全部が中国語版となっているのではないでしょうか。マレーシアにその翻訳版全種が入ってくるとは思いませんが、それでもいろんな書店には次々と新しい日本コミックが並んでます。ということでコミック書名を調べるのはきりがないので、最終的に止めました。
このコミックは、集英社、講談社など日本の出版社から版権をマレーシアの会社が直接取ったもので、マレーシアで翻訳出版しているもの。同じコミックを中国語翻訳版とマレーシア語翻訳版の2種類で発行しているが、台湾と香港からの輸入コミックに比べて数と種類はずっと少ない、が今後増えていくと思われる。現在のところ2社が発行しており、コミックの種類は各言語数十種類ぐらいか。新書サイズで、全体的に薄い。価格 RM4から5ぐらい。
例:ドラエモン、GTO、Dr.Slump、Slam Dunk、釣り吉三平(写真あり)、ブラックジャック、The Chief, ドランボールZ、クレヨンしんちゃんなど。 スポーツとか青春漫画が大半を占めるようです。
出版社の1つを訪ねたが、責任者にあえず、残念ながら生の声は聞けませんでした。
これが今爆発的に増えています。コミックの裏にはNT$つまり台湾通貨と とRMつまりマレーシア通貨の価格が両方印刷されており、日本出版社の版権を取り台湾で印刷しマレーシアで同時出版しているとみられる。目録を見ると既に300種近い日本コミック中国語翻訳版が出版されている。これを独占的に販売しているのは、クアラルンプール、イポー、ペナン、ジョーホールバルに総代理店を持っている 天下漫画という会社です。多分他にも会社があるかもしれないが、ここの総代理店が並べて売っているコミック数は抜群に多い。
リストから抜き出すと、金田一少年事件簿(金田楊三郎)、名探偵コナン(青山剛昌)、GTO(藤沢亨)、将太の寿司(寺?大介)、ポケットモンスター(穴久保幸作)、消防員物語(曽田正人)、地獄先生(岡野剛)、HUNTER X HUNTER (富樫義博)、怪物モンスター(浦沢直樹)、犬神(外?昌也)、野口英世物語(陸奥利之)、幕張(本多康昭)、悪魔悪魔(三好雄之)、東京番長(鈴木慧一)、みゆき(安達充)、ViVian 魔女娘(高橋豊)、怪盗少女(立川恵)、美少女戦士S(武内直子)、COWA(鳥山明)など。
注:コミック本はどの店も例外なく透明ビニール包装して中が見えないので、奥付けに書いてあるはずの正確な日本の原題名がわかりません。
香港又は台湾発行のコミック雑誌はいくつか輸入されている、またマレーシア地元発行の香港か台湾の漫画を単発で載せた薄っぺらい雑誌も何種類かある。
それとマレーシア発行の中国語の週刊コミック雑誌がよく知られている、書名を ”漫画周刊” といい、大衆食堂での昼飯代ぐらいという手ごろな価格RM3.50 です。ページ数110ページですから、日本の漫画雑誌に比べれば可愛い量ですね。載せているコミックは日本コミックの翻訳がほとんどで、テレビゲームの攻略法、読者の意見欄とひとこま漫画投稿欄、日本コミックVCDの広告(写真あり)などを混ぜて編集している。恐らくこれが一番売れている老舗漫画雑誌であろう、90年創刊と書いてある(写真あり)。
ページ数の3分の2以上を占めるコミックページの中身から日本コミックを抜き出すと、剣道恋の話(原秀明)写真あり、Get Backers(青木佑夜原作)、Shaman King(武井広之)、正式修行開始(富樫義博)、明智警部の事件簿 3(佐藤文也)、霊異教師(岡野剛)、戦国童話 犬夜叉134話(高橋留美子)、浪客剣心(和月伸宏)、Rookies(森田真法)写真あり、名探偵Conan(青山剛昌)、F. COMPO(北条司)、さらに漫画家藤沢亨に台湾で行ったインタビュー記事なんてのも載ってます。
こうしてみると地元漫画家のコミックは全くありません、日本コミックばかりという構成です。尚この漫画雑誌には各コミックの原名が書かれていませので、上記で書いた題名はいずれも引き写し又は筆者の解釈した題名です。
そこでこの雑誌の編集部を訪問して話を聞きました。華人地区にある小さなビルに入居した出版会社のその 1、2室が編集部でした。筆者の相手をしてくれたのは若い編集責任者でした。
読者の中心は何歳ぐらいですかと尋ねた質問に、反応があるのは10代の前半です、と返ってきたので意外に思い、「でも店で買ったりするのはもっと年上の層ではありませんか?」
「そうかもしれません。兄などが買ったものを見ているのでしょう。」
「”漫画周刊”の読者はどこが多いですか?」
「クアラルンプールとその周辺、次いでジョーホール、ペナン、クチンです。イポーは多くありません。」
「読者層はどういう年代を狙ってますか?それによってどういうコミックを載せるかを決めますか?」
「マレーシアは台湾、香港と違って市場が小さいので、このコミックはこの年代層をねらうということができません、ですからどの年代層も対象にしてます。」
「載ってるコミックはほとんど日本コミックですが、版権と漫画の選択はどうしているのですか?」
「編集部で意見を交わして載せるコミックを決めます。主に香港から基になるコミックを買っています。詳しいことは社長でないとわかりません。」
ということで、想像通り日本から版権を得ているわけではありませんでした。漫画好きの編集部員がそれぞれ香港、台湾で発行されている新しい日本コミックを読んで、決めるようです。ですから中国語への翻訳はすでに台湾、香港でなされてるわけです。
編集部は5人ほどとのこと、さらに社外にイラスト、記事を書いたりする協力者がいるそうです。香港からの版権の買い方は、社長が留守で聞けませんでした。もっとも社長がいてもそれは多分教えてくれないでしょうが。
「載せているコミックはいずれも絵も文字も随分縮小してあるのですが、それはどうしてですか?」
「マレーシアでは一つの雑誌にたくさんコミックを入れた方が喜ばれるのです。ですから10編ほど載せているのです。」
110ページの3分の2以上がコミックですから、各コミックを縮小せざるを得ないわけですね。コミック単稿本の半額ぐらいの値段にし、複数のコミックを掲載してこの雑誌を売れやすくしているのでしょう。
「どうしてビデオ・PCゲームの案内と攻略法もこの雑誌に載せているのですか?」
「マレーシアは市場が小さいから、漫画雑誌とゲーム雑誌を別けられません。ゲーム情報だけならとても香港、台湾のゲーム情報雑誌にかないませんから。以前地元でそういう雑誌が発行されましたが失敗しました。いっしょにしたほうが読者から喜ばれるのです。」
これは筆者の疑問でしたが、説明を聞いて納得。確かにゲーム攻略法と情報専門誌では長続き発行は無理でしょうね。この”漫画周刊”はずっと続いてる唯一の華語漫画総合誌だそうです。
「読者はなぜ日本コミックが好きなのでしょうか?」
「マレーシア人(この場合は華人ということでしょう)はコミックだけでなく、日本からのいろんなこと、新しいものに興味を引かれます。日本のコミックは斬新で種類豊富で面白い、マレーシアにそういうものはないのです。」
「確かに日本のそういう面は誠に豊かで次々と新しい物をうみだすからね。」 と筆者はあいづちを打って置きました。「でもゴミも多いけど」とも付け加えました。
この雑誌にマレーシア華人の漫画家のコミックがないことを尋ねたら、彼は「まだ水準に達してない」と言ってました。マレーコミックを描いている華人漫画家はいても、中国語漫画を描いてる専業の華人漫画家は1人しかいないそうです。たしかに筆者はマレーシア華人の専業漫画家の名前は見たことがありません。台湾・香港の華人人口に比べればマレーシアのそれは比較的少ないし、その華人でもすべてが中国語を読めるわけではないから、市場規模は限られたものであることはわかります。これは単にコミックに限りません、マレーシアの中国語書籍事情は相当程度台湾と香港に依存してますからね。
「マレーシアでほとんど知られてない野球を舞台にしたコミック本も市場に出回ってますが、どうしてですか?」
「コミックを通して野球を知ってる人もいますよ。野球漫画でも問題ありません。」
そんなものなんですね。まあ野球のルールを知らなくたってコミックは楽しめますからね。
最後に、一般にどんなコミックが好まれ、また”漫画周刊”に今載せている中でどれが一番人気ですかの質問に、
「戦いとか喧嘩を主題にしたコミックです。スポーツ漫画も好まれます。」 「人気あるのは るろうに剣心(和月伸宏)です。」と答えてくれました。
「GTOってたいへん人気ありますね」 と別れ際に言ったら、彼は、「私もGTOは好きで人気あるが、版権の関係で載せられないのです。」と言ってました。彼は日本番組VCDも見るそうで、「GTOは見る価値あり。」とか。
「日本番組VCDは高いけどそれでも買う人といるんですね。」と言ったら、「値段は高いが、何人かで分かち合えばいい」そうです。なるほど好きになればそういう手もあるわけですな。
この雑誌はマレーシア唯一の成功している中国語コミック雑誌ですから、その編集者に生の声を聞いたのはたいへん参考になりました。
コミック雑誌ではありませんが、上記 {日本人スターとテレビドラマに関して}で紹介した中国語雑誌”青春”では1ページまるまる使って、漫画家安達充の紹介が載っています。20年を超える漫画家生活の中で、彼は10いくつかの長編短編を描き、単行コミックの数は100を超える、彼の作品は若者の感覚に満ちている、これが受ける原因でもあるだろう、読者は彼の夢とする理想と愛をコミックの主人公に見出すのだ、などなど。そして読者はあの涙を読んだ作タッチを忘れられないだろう、と。
安達氏は日本漫画界の中で20年以上もトップの地位にいる、素晴らしいことだ、だから師匠と形容してもいいと褒め称えている。そしてタッチ、H2、親子なんとかのコミックの表紙写真が加えてあるのです。(写真あり)
ちょっと意外なことに、マレーシア語の日本コミック雑誌も発売されています。ただ発刊されたのが今年で、ページ数も70ページほどと薄く、価格がRM2という超低価格です。現在月2回刊ですが、これが保てるかずっと発行されていくか、まだまだわからないというところでしょう。
雑誌名 Komik Remaja (青年または青春コミックという意味です)といい、日本コミックのマレーシア語版を9編載せており、ごく薄い雑誌ですのでいずれも縮小されており見にくいのはいうまでもありません(写真あり)。せりふは全てマレーシア語ですから、間違いなくマレーシアでの翻訳ですが、版権に関してはわかりません。主なコミックは、GTO、City Hunter、Akira Toriyamaの Pola & Roid、などです。作者名が記されてないのが7編あり、原作名も載せてありませんので、上記3編以外は、筆者には日本語名がわからないのです。
9編の内純愛物はありませんし構成からいってマレー人男性向きといっても間違いありません。1こま漫画投稿欄を見ると、投稿者の年齢は13才から23才でした。マレーシア語コミックらしく、その投稿者の住所にクランタン州、サバ州などとあるのです。その他、PCゲーム案内がカラーページで数ページあります。面白いのは、巻頭に日本コミックの各こまのならべ方を図示してあることです。つまり、こまを読む順番を読者に説明しているのです。
この雑誌が今後どう伸びていくまたは廃刊されてしまう、注目してみましょう。
いずれにしろ日本コミックはこうしてマレーシアにも続々と入って来ています。日本の漫画家と出版社は台湾と香港での日本コミックの人気は当然知っているでしょうが、その第二市場であるマレーシアの状況は恐らくほとんど御存じないでしょう。この”漫画周刊”収録コミックの漫画家で自分の作品がマレーシアヤング華人に毎週読まれてるのを知ってる方がどれくらいいるかな。日本の漫画家さん、あなたの漫画はマレーシアでも人気あるのですよ!
参考までに地元マレー人漫画家ばかり載せているマレーシア語の雑誌をあげておきましょう、まずしにせで有名なのはGila Gila、Ujanでしょう、さらに Galong 2000 価格RM3.50 というのもあります、これは比較的新しく発行された雑誌です。他にもApo など数種がこの数年刊行されている。マレーコミックは日本コミックとは大分タッチがことなるコミックです。読者層はほとんどマレー人に限られると推定される、筆者は華人若者がこの種の雑誌を買う読んでいるところを見た記憶がない。このマレーシア漫画に関しては今回のコラムの趣旨と違うので、いつかまとめて書きましょう。
9月末頃スンガイワンのゲームセンター街のある1Fに、日本コミック、VCD、ビデオ(いずれも全て中国語字幕版)主体の専門店が出現しました。その日本物の種類の豊富さと客の入りはなかなかのものです、コミックもドラマVCDも実に種類が多い。台湾と香港からの雑誌ももちろん置いてありますし、地元の中国語とマレーシア語コミック誌もありますが、中心は日本物。その中には、藤原紀香、山田マリア、山口智子、松隆子の写真集 各RM20 もあるし、友坂理恵のコンサートCD、日本アイドルの水着VCDなんてのもある。
店内テレビでは日本テレビ番組のVCDが時折映じられており、日本語が聞こえるが客層は華人中心のマレーシア人ばかりの奇妙な気分です。
この場所はクアラルンプール一人気あるスンガイワンでもさらに若者のよく集まる場所ですから、きっとテナント料も高い事でしょう。それにもかかわらず日本物で固めたこの店は、この頃の日本ヤング大衆文化流行のいい例を示しています。この店がいつまでもつか、それともずっと繁盛していくか興味深いところです。
スンガイワンのLG階には昔から雑誌新聞販売店があり、いつも繁盛してます。ここは英語雑誌、中国語雑誌、マレーシア語雑誌とそれぞれバラエテェーに富んで扱っており、客層も華人に限りません。ここでも最近日本コミックの数がぐっと多くなりました。マレーシア語版の日本コミックも結構置いてある。
面白いのはコーナーを別けて日本のファッション雑誌を売っていることです。Isetanなどの日系書店へいけばもちろん最新号は入手できますが、価格は高い、そこで号落ちの古雑誌という形で地元客層を狙っているのでしょう。たしかに価格はずっと安いです。SEDA, MORE, SOEN, NONN-NO, Men's NON-NO などがRM6ぐらいから売られている。
上記2店舗は伝統的にこういう商売に強いインド人経営です。このあたりが多民族国家マレーシアらしいですね。
またこれはスンガイワン内の全く別の店で3Fに最近オープンしました、ジョーホールバルに本店を持ちペナン、マラッカなどに数店舗持つチェーン店です。ここも日本のコミック、CD、番組VCD、模型などが主として並べてあります。日本アイドルのポスターをRM12から20ぐらいで売っており、サービス品として Tokiwa Takakoのポスターをサービスしてました。興味深いのは会員になると、商品が5%から20%引きになるとうたっている事です。会員費 はRM50です。店の人に、こういう店をオープンした理由を尋ねると、「市場があるから」と答えてくれました。
チャイナタウンとChen Lock通りを境にして建つショッピングセンターS&M(新馬購買中心)のLG階には、日本コミックをたくさん売っている書店が3軒、さらに日本VCDを置いてる音楽ショップも数軒ある。
3軒のうち、2軒は経営者同一で、大きい方の店は各種言語の雑誌新聞を以前から販売している雑誌新聞販売店で、その品揃えに日本コミックが最近急激に増えた。もう一つの店は数ヶ月前に新装開店して、日本コミック中国語版と日本古雑誌、日本VCDに特化している。両方とも経営はスンガイワンプラザにある同種の店と同じインド人が経営している。置いてある日本の古雑誌は、NON−NO.Men's NON-NO,WITH, こどもブティックなど。
このS&M プラザのLG階には上記の2軒とは関係なく、日本コミック専門店”天下漫画”書店がある。狭い店内にぎっしりと置かれた日本コミックが数百種類、いやもっとか、とにかく種類豊富、日本漫画の中国語翻訳版が95%を占める。最近立ち寄った時、手塚治虫の初期の漫画、もちろん中国語版が安売りされていたが、人気はなさそうである。 さらに日本人アイドルのポスターを1枚RM4.9で、ドランゴンボール、ポケットモンキーなどのキャラクターポスターをRM2.5で販売している。華人学生がいつもうろついている、人気の店です。
このS&Mプラザは小さなショップがごちゃごちゃと入居した大変庶民的なショッピングセンターです。チャイナタウンの対面ですから、足を伸ばしやすいですよ、どれくらい日本物が流行っているか実感できますから、Intraasiaお勧めの場所です。若い旅行者なら、日本コミックやVCDを選んでる学生たちに声かけてみるのもいいかもしれません、お友達になれるかもね(?)。
チャイナタウンの真ん中の一番人通りの多い十字路に面して、各言語の雑誌と新聞をずらっと並べた店があります。チャイナタウンを歩けば必ず目に入る店です。ここでも日本コミックの展示数がぐっと増えました、とういより1コーナーが丸まる日本コミックです。ただマレーシアの書店の例外にもれず、すべてのコミックは透明のラップで覆われており、ページ内を開くことはできません。
さらにクアラルンプールの華人地区たとえばMaluriのような地区にも上記と同種の日本コミック、VCDなどをたくさん置いた店がいくつか出現しています。又はこれまであった書店、音楽ショップが日本物の数をぐっと増やしているのです。
こういう最近オープンしたコミック中心の書店とは別に、昔から華人地区には貸し本屋があります。店内で読めばコミックまたは雑誌1冊60セントぐらいからで、家に持ち帰れば保証金の意味合いで1冊7,8リンギットは取られますが、返本すると半分以上は戻ってくるのです。こういう貸し本屋の棚にも新しい日本コミックが増えているようです。
クアラルンプールから高速道を1時間南下したスグリスンビラン州都スレンバンは、華人の多い町です。この町一のショッピングセンター Terminal One内にコミック専門店があります。会員制の貸し本、店内有料読み制も取り入れているコミックと中国語雑誌ばかりの本屋です。以前訪れた時は気がつきませんでしたから、テナント入居してそんなに何年もたつ本屋ではないでしょう。その在庫している日本コミックの豊富さはすごいです。種類にしたら500種は超えてるのではと推定しました。新しいコミックが多いように見受けられ、客も入ってました。
やはりクアラルンプールとその周辺の華人地区または華人の多い繁華街だけでなく、地方の都市、町にもこの日本コミック流行は及んでいるのです。
その推測は10月末に訪ねたジョーホール州のKluangでも間違っていませんでした。が、雑誌新聞店に並べてある日本コミックの数と種類はさすがに多くはありません。貸し本屋の棚には多くの古い日本コミックが並んでますが、新本はずっと少ないです。
10月中旬ペナンのジョージタウンのチャイナタウン界隈とKomtar内のショップを回って、日本コミックの状況を調べてみました。華人人口の多さから予想通り、日本コミックはここでもいろんな雑誌・新聞販売店には必ず並んでおり、漫画書店は日本コミック中心の在庫です。クアラルンプールと同じく、コミックを貸し出すまたは店内で有料読みさせる書店もチャイナタウンにはいくつかあります。書店内で読むだけなら1冊60セントぐらいからです。
ただクアラルンプールに最近できたような、日本コミック主体の新店舗はチャイナタウン界隈にはありませんでした。別地域へ行けば見つかるかもしれませんね。
赤川次郎の小説を中国語に翻訳しているマレーシア華人が赤川次郎にインタービューした記事が、先日ある中国語紙に出ていました。この記事によると赤川次郎の小説中すでに80冊がこの女性翻訳者によって中国語に翻訳され、中国語圏(台湾、香港で、マレーシアではどうかわからない)で出版されているそうです。
10月31日付け「星洲日報」の日曜版に”日本文学次世代のキングとクイーン”と題した解説記事が載りました。村上春樹と吉本ばななは日本文学界の当代一の人気小説家であり、この両人には共通点が多い、とこの記事の書き手は書いてます。両人の写真も掲載されているのです。
両人の題材に似た物がある、表現上では現代感覚に優れ、軽快である。 安部公房や大江健三郎の文学世代とは違った次世代をになう世代が吉本と村上である、この両人とサラダ記念日の歌人 俵万智とともに、日本文学の再口語化運動を進めている、云々と述べ、両人の小説手法を細かく解説しています。例えば吉本も村上も一人称をとった描写方法を用いるそうですが、それ以外では違った面もいろいろあるとして、この人は例をいくつか上げています。日本の現代小説は全く読まない筆者はこの記事に”教えられました”ね。(小説が嫌いというのでなく単に私の趣味ではないだけです)。
筆者は、村上春樹と吉本ばななの中国語翻訳版小説が中国語専門書店に並んでいるのを見たことは何回かありますが、いずれも台湾出版でした。筆者の知る限り、この種の日本小説の中国語翻訳版はマレーシアで出版されていないようです。他にも日本語の軽い人気小説は台湾で相当数翻訳出版されており、その内数はぐっと少ないですがマレーシアに輸入されていますが、調べませんでした。
またマレーシアの主要中国語紙各紙は日曜版などに時々日本小説の短編を載せています。こうして日本の小説とか小説家を常時ではないといえ、ある程度のページを使って紹介するのは、やはり中国語紙の独擅場ですね。英語紙・誌とマレーシア語紙・誌では、例外はあるとしても、まず載らないでしょう。
筆者は現代日本のヤングファッションや人気スターとコミックに関してはほとんど知識がありませんでした。ですからここに書いたスター名、コミック題名とかファッションに関してそんなの時代遅れですとか綴り・名前が間違っている、と言われることもおきるかもしれません、しかしこのコラムの目的はどれくらいマレーシアヤングが日本のヤング文化に興味を持っているかの紹介なので、そのあたりはご了承ください。尚間違いは指摘して下さい。(掲載後指摘によってすでに幾つか訂正しました)
”画像あり”としたのは、旅行者・在住者のためのページにある「ファッションとヤング文化」内の該当ページに写真だけ載せていることを示しています(クリックすると開きます)。このコラムに載せるとページが重くなるので、別ページ立てにしたわけです。そちらも参照して下さい。
日本の有名化粧品はずっと以前から現地法人なり総代理店を通じて、有名デパート、ショッピングセンターで売られています。このコラムの対象はそういう伝統的に知られたメーカーでなく、知られてないメーカー商品です。どれが日本メーカーでどれが台湾メーカーか区別がほとんどつきません。
なぜなら台湾メーカーも説明やロゴに日本語を印刷してるのと、筆者自身がそういうメーカーの知識ゼロですからね。とりあえず比較的多く置いてあったスンガイワンプラザのUG階でそういう無印メーカーのリップスティックとネイルカラーを中心に扱っている店を見つけましたので、オーナーに話を聞きました。ここも華人の若いオーナーです。
オーナー言うに、「日本からも台湾からも輸入している」。置いてあった”IZUNA”というのは日本製ですとのこと(写真あり)。壁には、切り取った日本のファッション雑誌の化粧品品広告と化粧の仕方解説ページが貼ってあります(写真あり)。もちろん日本語ですから、まず読める人はいないでしょうが、店のイメージ造りという所です、店のガラス扉にも貼ってあります。これだけ見るとすべて日本から輸入しているみたいですが、そうではありません。
日本のヤング層のファッションの一部を持ち込んでそれを巧みに強調して売る賢い商法です。これができるのもそれだけ日本のヤングファッションが中国語雑誌などで紹介されているからでしょう。
こういう無印の日本製、またはそう思われるヘアケア商品、リップスティックなどは、ショッピングセンターの通路に出したブース形式の店で時々売られています。宣伝に日本ファッション雑誌の切り抜きが掲げてあるのが目印ですよ。
去年変な日本文字の書かれたTシャツとパンツがクアラルンプールではやりました。当サイトの旅行者ページでも写真付きで紹介しましたね、すべて香港製だったそうです。しかし今は着ている人は時々見ますが、もう売っている店はありません。
その替わりでもありませんが、多分今年だと思います、スンガイワン、Low Yat PLazaには日本風のファッションを売り物にしているヤングレディーブティックが数軒オープンまたは新装開店しています。店内には日本のファッション雑誌の切り抜きが貼ってあり、日本の流行歌がバックグランドに流れてます。筆者には本当に日本製品かどうか見分けがつきません。そのある店で写真撮りとお話伺いしたかったのですが、あっさりと断られましたので、これを確認できずです。
またごく最近になって、明らかにマレーシア製のファッションでないヤングレディー用ファッションがクアラルンプールでは流行り始めています。半袖でなく長袖のシャツ、それも生地がちょっと厚めで、時々前または後ろに英文字などが入っている。肩からかけるショルダー布袋をさげたスタイルもある。それとは別に Fishermen Hatという女性用帽子のコーナーが目立つようになった。スンガイワンではこのファッションを扱う店が急増している。
このファッションは香港から来ているようです、しかし元々は日本発なのではないかと思えるし地元雑誌にもそのようなことが書かれているのだが、残念ながら筆者自身その知識がなく確認できませんでした。
例えば、10月3日付け中国語雑誌「生活電視」は、日本最新潮流として、若い娘の手指の自作装飾ファッションを何枚かの写真で示して載せています(画像あり)。筆者には全くの初見です、今日本ではこんなファッションが流行っているのですか?
クアラルンプールで人気No1.のショッピングセンター Sungei Wang Plazaの1Fに、日本ヤングファッション店が2軒ならんでおり、店名を”原宿”、”渋谷”と名づけている(写真あり)。渋谷の方は、香港人のオーナーで、商品はほとんど香港から輸入品とのこと。疑似日本ヤングファッション店ですね、それなのに店名とウインドーには渋谷の地図など貼り付けています。まあどう宣伝しようと勝手ですが、知らない人は本当に渋谷のファッションと思うかもね。
そこでもっと本当の日本商品を扱っている ”原宿”ショップのオーナーである写真の女性Ms. Pannyに話を伺いました。
「いつごろ開店したのですか?そして客層は?」
「97年ですから、すでに2年以上です。客層は15才から25才の女性ですね」
「店の品物はすべて日本からですか?」
「いえ、香港と日本からで、韓国製もあります。日本製ばかりでは高すぎてだめです。」
確かにマレーシア人のヤング女性層には、本当の原宿ファッションは高すぎるでしょう。日本での売価が1着6,7千円もするのでは、RM200を超えてしまい、購入者が限られてしまいます。そこでMs. Pannyは日本ファッションを巧みに取り入れている香港服飾も輸入しているわけです。さらに日本風韓国衣服をマネキンが着ています。
「小物がたくさん並べてあるけど、これらは何処製ですか?」
「日本製が多いです。小物はよく売れます。髪飾り、しゃれたイアリング、アクセサリーなどこういった種類はマレーシアにありません、私が日本のファッション雑誌を見て注文するのです。」
小物だとRM10以下ぐらいですから、納得できます。なかなかセンスのいい髪のアクセサリー品が壁にかかっています(写真あり)。雑誌切り抜きを見ると確かに日本での流行品らしい。
彼女は日本の各種ファッション雑誌から気に入った品物と衣装の写真をたくさん切り抜き、発砲スチロール板に貼り付けて店内に展示しています(写真あり)。
「こうして、お客さんにこれが日本のファッションですよと示すと、彼女たちは納得するのです。私はこの切り抜きとはりつけ作業を毎月してますよ。」
さすが2年商売を続けているオーナーです、いいアイデアですね。客の女性たちの多くは日本ファッションに精通してるわけでないので、こういう展示スタイルで納得して買っていくそうです。小物の中から先日までよく売れていたという、カラーブラストリップを見せてくれました。この数年クアラルンプールなどのヤングレディーのファッションがいわゆる見せるスタイルになりつつあるので、こういう小物も売れるのでしょう。
日本のオリジナルキャラクター商品と、東京のどこにある店か知りませんが”文化村”からの輸入商品が鍵を掛けた展示ケース内に飾られています。Kitty グッズよりも、たれパンダグッズが多いです。ただ店の中心はあくまでファッション衣料です。
店内に掲げてある安室奈美恵のポスターについて、「日本のスターポスターも売ってるのですか?」
「今はほとんどないけど、1枚RM50でよく売れました。」
なるほど、日本ファッションに興味ある娘は日本人ヤングスターファンにも重なるのでしょう。
「日本にいましたか?」
「香港とそして日本でデザイナーの学校へ5年通いました。マレーシアに戻ってJaya Jascoでも働きました、だから日本語も話せるし読めます。日本人の知り合いもいます。」(筆者とは広東語で会話している)
「ここにある帽子でも売れるのですか?」
「私も最初は売れないと思ったけど、よく売れました、今はあまり置いてないけど。」
「この布バッグ類も日本製ですか」
「そうです、でもMaid in Thailandと縫い付けがしてあるのが問題なのです。客はこれに気がついて、日本製なのにどうしてタイと示されてるかと疑問に思うのです。でも日本製品でも外国で製造されるのが多いけど、品質が厳しく管理され、タイやマレーシアでは売られてませんと説明して納得してもらいます。」
これはよくわかる苦労ですね、現代の日本服飾類はもうどこで作られてるかわからないほどあちこちで作られているから、日本の消費者なら承知してることでもマレーシア消費者には納得できないこともあるのでしょう。
「お客は日本ファッションをよく知っていますか?」
「あまり知りません。香港の雑誌に日本ファッションの記事写真が多いけど、彼女たちは最新の日本ファッション情報を早く知りたいのです。だから私はそれをよく知っているので、私の推薦や展示説明を信用してくれるのです。」
なるほどと筆者思いました。客は香港・台湾雑誌で知識を得るものばかりと思いましたが、一概にそうは言えないようです。各種地元の華語メディアで紹介されたそうなこの店は、日本ファッションファンには知られているはずだと、Ms.Pannyは語っています。
「ただ最新ファッション衣料は高すぎて一般マレーシア人には手が出ない、だからもっと値段の安い香港、韓国製品を輸入しているし、手軽なアクセサリー品もあるのです。」
説明に納得です。だから日本風シャツ、スカート、ジーンズが置いてあるわけです。ウインドーに飾ってある日本人形を指差して、彼女は、「こういう日本人形は人気あるんです。でも何百リンギットもするから高すぎます。」
Ms.Pannyと並んで写真にとった、マネキンが着ている原宿輸入した上下ファッションは占めてRM228の売価です(写真あり)。
彼女は、スンガイワンというマレーシア一の人気ショッピングセンターでこうして日本ファッションを売っている勘のいい経営者ですね、”原宿”は決して大きな店ではありませんが企業グループの店でなく個人商売ですから、尚更感心しました。クアラルンプールと周辺にはこういう地元人の日本ファッション専門店は「私の店だけです」とのことでした。確かにJaya Jusco、Isetanなどには日本ブティックがいくつかありますが、それは純粋な地元資本ではないし、対象が上中流客層でしょう。筆者の知る限りも ”原宿 ” のような店は今の所なさそうですね。
マレーシアの民営ラジオ放送局にRadio Redifusion というのがあります。半島部の西海岸を中心に比較的若い層を主対象にした都市型ラジオ局で、中国語・広東語番組部門とマレーシア語・英語番組放送部門の、それぞれ周波数の違う2つの放送番組網を持っているユニークな局です。ラジオ局開局は確か96年後半です。
筆者はマレーシア語・英語番組放送網RfMの方は全く聞きませんのでそちらは置いておいて、常時聞いている中国語・広東語番組網に絞ります。この放送番組を麗的FMといい、24時間放送で中国語番組と広東語番組がほぼ半分づつに組まれています、民営局らしく一本調子でなく、リスナーの好みに上手に答えた放送内容なので、(英語主体層ではない)華人にはたいへん人気ある放送局です(広告の多さと華人地区を歩けばよく聞こえてくること、それに聴取地域を次第に増やしてきたことから容易に推測できる)。中国語雑誌やコンサートの司会にも登場する人気DJが多いのもこの麗的FMの特徴です。
尚マレーシアのラジオ事情に簡単に触れておくと、公営のRTMが各言語別の放送局を運営して全国放送している。民営は半島部中心だが、ボルネオ島部にもネットワークをひろげている局もある。中国語放送局についていえば、中国語だけで放送のRTM局が1局、民営がこの麗的FM とAstro衛星放送局下のラジオ局の2局あり、どちらも中国語と広東語の2言語放送です。
さてその麗的FMは、全番組中で唯一日本ポップスを専門に紹介する「金曜夜のサイモンさん」という広東語番組を毎金曜の20時から2時間放送しています。実際に日本ポップスが紹介されるのは1時間半ぐらいで、Simonのちょっと早口のおしゃべりと相俟ってアップテンポな番組です。毎週日本のオリコントップ10の紹介、Simonの推薦曲などが次々とかかります。また時には日本人歌手のポスター、CDプレゼントもあるのです。さらに、いわゆるスポンサーとして某日系語学院の一口日本語教室もあります。
麗的FMファンの筆者は家にいる限り、もちろんこの番組も聞いてます。そこで、番組DJの Mr. Simon Yong、通称Simonに手紙でインタビューを申し込みました。しばらくして放送番組の中で「連絡してくれ」との返事をもらい、その後の電話会話をへてインタビューにこぎつけましたので、この「マレーシアでの現代日本ヤング文化の人気と浸透度を探る 」シリーズコラムの締めくくりとして、それを報告しましょう。
11月初めのある日の午後、筆者はSimonをRadio Redifusion放送局に訪ね、応接室でいろいろ話を伺いました。尚元の会話はすべて広東語です。
「Simon、あなたが日本ポップスに興味を持つようになったきっかけとそれはいつですか?」
「91年ぐらいごろになりますが、以前日本語ビデオを編集する仕事をしておりそれがきっかけです。その後有線放送局 RedifusionのDJをしている時から本格的に日本語ポップスにかかわるようになったのです。」
この有線放送局の放送は筆者は聞いたことはありませんでしたが、その担当番組の中でも彼は日本ポップスを紹介していたそうです。尚この有線放送局は現在のRadio Redifusion局の前身でもあります。
「そうするともう日本ポップスとのつきあいは9年ぐらいになるのですか?有線放送局で日本ポップス紹介しはじめたのはいつからですか?
「95年から有線の番組で紹介してきました。私は91年以降つまり90年代の日本ポップスにはたいへん馴染んでいますよ。」とサイモンは語ります。日本ポップスを追って10年近いわけですか、詳しいはずです。
「どこが日本ポップスの魅力でしょうか?」
「最近は香港歌謡も独自の曲、スタイルが増えたが以前はたくさんの曲が日本歌謡の影響を受けていた、そこから日本歌が魅力に感じ、興味を持った。」
昔の香港、台湾歌謡曲には日本の曲が多いし、日本歌謡の影響は大きいと、サイモンの意見です。確かにちょっと前の中国語のカラオケではなんか日本で聞いたメロデーだなというのがよく出くわします。ただ筆者は香港の曲も相当独自のスタイルがあるのではとは感じますが。
日本のポップスのよさはどこにあるのでしょうか?」
「たいへんざん新的で多様なことです。ただあまりロックすぎるのはここでは受けませんね。番組で2、3回紹介しても反応が薄いのもあります。」「そういう場合は次から紹介しません。」
あまりうるさい感じの曲は筆者も閉口ですが、マレーシアのファンもどうやらおなじらしい。
「先週郷ひろみの一連の曲を紹介してましたが、そういうこともたまにはするのですね。」と筆者は昔彼がヤングのアイドルだったことを伝える(尚筆者はそれよりまだ前の世代です)。先週の番組”金曜夜のSimonさん”で最新のポップスばかりでなく、10年以上も前のちょっと懐かしい曲が珍しくかかったので、それを題材にしてちょっとおしゃべりしました。
「日本の歌手のシングル売り上げなどびっくりします。何十万枚も売れるのですね。日本ではドームでのコンサートに行きましたよ。すごい人でした」とSimon。
「確かに日本の歌謡市場は巨大ですからね。マレーシアはそこまでとてもいかないでしょう、民族がそれぞれ自民族の音楽に偏るから」と私は相づちです。ドームとは後楽園ドームのことでしょう。
「日本の音楽シーンはスピードが速くて、1週間に1回だけの放送ではついていけないくらいです。」
たしかにマレーシアの音楽シーンよりはめまぐるしく動いているんではと、しろうとの筆者もそう思います。
「こういう日本の新しいポップスの情報はどのようにして得るのですか?」
「日本で出版されている音楽誌の”Ichiban"をいつも読んでます(筆者は知りませんが、そういうのがあるんですね)、又オリコンのインターネットサイトなどでも情報を取っています。」
「地元のレコード会社の人達ともお知り合いでしょ?」
「そうです、Polygram、Canyonなどの人といつもコンタクトしてます、新曲やデモ版などをまわしてもらっています。日本で新曲が発売されて3ヶ月すればマレーシアにも輸入されます。」「以前Mr.Childrenのアルバムがマレーシアで発売されてた時、誰も売れないだろうと思ってたところ1000枚も売れて地元レコード会社の人も驚いたことがあります。」
とおしゃべりしていたSimonの携帯が鳴りました。電話の相手は地元レコード会社の人だそうです。
こうして彼は常時日本ポップに接しているわけです。日本ポップスに全く疎い筆者は時々彼が口にする日本ヤング歌手・グループの名前が聞き取れません、紙に書いてもらって確認。
「日本の歌手とかプロダクションの人は個人的に知ってますか?」
「誰も知りません」
日本から歌手やプロダクションがマレーシアには来たことがないから、無理もないでしょう。第一彼らはマレーシアの状況を知らないはずです。マレーシアで熱心に日本ポップスを広めているラジオ局やDJがあることを彼らに知って欲しいですね、とたいして日本ポップスファンでない筆者は思います。
「以前Simonの番組は別の番組名で月曜午後の2時間でしたが、数ヶ月前に金曜夜のゴールデンアワーに移りましたね、きっと日本ポップの反応がよかったのでしょう?」
「リスナーから午後2時では聞けないというのがけっこうありました。リスナーの中心は学生ですから、その時間は学校、カレッジがあるし、働いている人もいますから。反応はまあまありますね。」
「貴方の番組のリスナーの年代はどれぐらいですか?」
「10代後半から20代前半ぐらい、学生層が多いですね。」「首都圏、ペナン、イポー、ジョーホールなどの都市圏です。」
これは大体筆者の想像通りです。いくら日本ポップスが人気あるといっても田舎ではやるとは考えづらい。
「そういうリスナーは中国語主体層ばかりですよね?」という筆者の質問に意外な答えが返ってきました。
「いや、普段は英語番組聞いている人も多いのです。日本ポップスのために私の番組を聞く子もいます。」
日本人アイドルの情報媒体が中国語雑誌や中国語字幕のVCDなので、中国語主体層ばかりと思ってましたが、そうでない層も混じっているのですね。確かに聞く分は関係ないですからね。
でも日本ドラマVCDの影響は大きいはずです。Simonも同感だと言ってます。印刷された写真と違って動きのあるスターに(華人の)若者は引き付けられるのでしょう。
「日本コミックがたくさん出回っていますが、そういうのを読む人もリスナーに多いでしょう?」
「そうです、コミックは日本語ポップスよりもっと広範囲ですし、ずっと以前から出回ってますし、そういう層も多いです」
これは筆者も同感です。コミックがドラマ化されることもあるし、コミック雑誌には日本人スターの話題も載ってる。
「今年になってものすごく急に日本歌手などのVCD、ドラマVCDが増えたと思うのですが、それはどうしてでしょう?」
「いや、去年の方が熱が高かったですよ。」
「えー、でも町で売られているVCDは今年急激に増えてるではありませんか」
「商業的にはそうかもしれません。ただそういうドラマ番組・情報などはちょっと古いですね」
確かに日本で最新のドラマはすぐマレーシアに伝わってきませんから。本当の熱心なファンにはその種は多少古いかもしれませんね。去年の方が熱が高かったというSimonの返答は筆者には意外でした。
「日本ポップスのファンである彼、彼女たちは、日本ヤング歌手のどういう面に引かれるのでしょうか?香港スターに比べてどうなんでしょうか?」
「彼らはいろんなメディアで日本アイドルのことを目にします。中国語雑誌を開けばそれに写真は載っているし、中国語新聞は日本芸能人について伝えてる、日本テレビドラマはVCDで見られる、このように様々にいろんなメディアで日本人スター情報にさらされて、彼らは日本人アイドルを気に入っていくのです。香港スターは(華人なら)誰でも知っているが、日本人スターはそれに比べればずっと少ない、そこである種の優越感と高級感があるのです」
なるほど香港スターに比べて日本人スターを知っているのはある種の優越感もあるのですね。まったく誰も知らなければ優越気分にもならないけど、知っている人もある程度いるというところが微妙な点でしょう。興味深い現象であります。もちろんVCDでみる日本人スターのカッコ良さに引かれる人もいるのでしょう。
Simonは番組中で比較的早口で話すDJですが、筆者との会話は筆者に合わせてくれたのかそれほど早口ではありません、でもおしゃべりのプロですから語彙は豊富です、全部はとても完全に理解できません。
「これまでに日本ポップス歌手がマレーシアに来てコンサート開いたことないですよね」
「ないですね。市場が小さいから無理ですね。」
筆者は有名ジャス奏者とか落語などの芸能人がマレーシアに来たことは覚えてますが、いわゆる日本人アイドルは誰もマレーシアに仕事で来たことがないはずです。
「シンガポールといっしょなら日本人歌手もくるかもしれませんね。マレーシアの華人人口はシンガポールよりずっと多いし---」と筆者です。
「でもシンガポールのほうが日本ポップス紹介は進んでますね。」
たしかにそうみたいです。シンガポールでは日本語DJ番組の中で日本ポップスが紹介されてるそうで、日本語を話せる又は日本人のパートのDJもいるとか、と筆者は何かで読みました。
「貴方の番組”金曜夜のサイモンさん (Gam yong yie no saimon sanと発音) ”がマレーシアでは唯一の日本ポップス紹介番組ですよね?」
「そうです、他には全くありません」
「私はマレーシア語や英語の番組で日本ポップスが紹介されるのは難しと思いますね」との筆者の確認質問に、Simonも同意でした。さらに「マレー人が日本アイドルに夢中なることはないでしょう。」とも聞くと、
SImonは 「ラジオ局の中でも、日本人アイドルのポスター見て「いいな」と言う人はいるけどそれどまりです。」
そうでしょうね。やはりマレー人ヤング間に日本人スターがアイドルの位置をしめるのはなさそうです。
「日本テレビドラマは見まずか?また日本映画はどうですか?」
「ドラマは見ます、たいへん素晴らしい、セットも背景も雰囲気も非常に素晴らしい。香港ドラマにはない。でも日本映画は見ません。退屈なんです。10数回のドラマを2時間に詰めてしまうので面白くないのです。 ”Ring” ドラマはたいへんよかったですよ。」
なるほどこういう見方もあるんですね、日本映画は退屈なんですか。私は見る気もなしいこの10年以上全く見てないので、それ以上は質問できませんでした。マレーシアで映像上で紹介される日本人スターはほとんどがテレビドラマを通してですから、テレビドラマの地位は高いのでしょう。
「日本歌手・グループでSimonの気に入っている人をあげてくれませんか?」
「安室なみえ、Misia、グループではB'z、Da Pump、Smap, Dragon Ash (筆者注:綴りに自信ないです)」
「男の歌手では?」
「うーん、福山雅治かな」
男性歌手名はあまりあがりませんでした。わかります、筆者も香港歌手で好きなのはまず女性歌手からですからね。
「麗的FMのほかの番組でもたまに日本語曲がかかりますが、日本ポップスに興味ある(華人)DJはSimon以外にもいますか?」
「いますよ。」
まあ何かにつけて日本の話題は各DJの話の中によく出てきます。もちろんそれについて深く語るというのでなく、軽い話題の一つということでです。それにしても広い意味で日本はやはり話題になるのです。
麗的FMの周波数はクアラルンプール及び首都圏が98.8, ペナンなら94.5 ランカウイ島で104.0 マラッカで98.2 ジョーホールバルとシンガポールでは99.9になります。西海岸の町ならどこでも聴取できるはずです、東海岸ならクアンタン付近だけですが90.4です。DJの Simonは上記金曜日夜の番組以外に、平日と日曜の午前11時と4時からの1時間番組をよく担当しています、但しすべて広東語番組です。
読者の皆さんでマレーシア旅行の際、金曜日の夜もしホテルの部屋に居ることがありましたら、麗的FMにチューナーを合わされるのもいいかもしれませんね。Simonのおしゃべりは全くわからないでしょうが、最新日本ポップスがたくさん流れてきますから。日本に帰国されたら意外やマレーシアの地で聞いた最新日本ポップスの話題も土産話になると思いますよ。
追記:この番組金曜夜のサイモンさんは終了しました。が2000年8月から新しく毎週日曜日放送の ”Simon San的楽園”という別の日本ポップス紹介番組が始まり、彼はこれのDJを担当しています。
人は旅行して何を求めるのでしょう、主なものを書き出せば、豪華なホテルで貴族気分にひたる、青い空と白い砂浜透き通った海で日頃の俗界からしばし逃避する、エキゾチックな慣習文化にしばし浸る、その土地の民族料理に舌鼓を打つなどでしょうか。そこで他の楽しみは別の機会に論じるとして、今回は食の面に絞ってみましょう。
マレーシアは多民族国家ですから、当然その料理には民族のバラエティーが反映されます。ただ多民族といっても、その中心はマレー人、華人、インド人の3大民族ですから料理も3大民族料理が主流且つほとんどということに成ってしまいます。サラワク州ではイバン料理、サバ州ではカダザン料理なんてのもあるようですが、それでもその料理がサバ州なりサラワク州の主流ではありませんね。しかも半島部でそういう民族料理を供するレストランはまずありません、観光週間の時にホテルでそういう民族料理を期間限定で供することがあるくらいです。
クアラルンプールにはサラワク料理を銘打ったレストランが今年開店したと新聞で読みましたが、それは例外中の例外ですね。そういうレストランが存続していくのはそれほどたやすいこととは思えません。
さて3大料理に次いで多いのが、ニョニャ料理です。これはある種の民族料理といってもいいので、マレーシアの4大料理の一つと言い換えてもいいかもしれません。
18世紀末にペナンがイギリスの植民地になり、それまで住民のごく少なかったペナン島は次第に人口が増えていきました。ペナンは茶、スパイス、陶磁器などの貿易の中継地として栄え、やがてその品目に錫とゴムが加わりました。そのため東西交易の交差点となり貿易者だけでなく様々な人たちをヨーロッパ、インド、中国、マレー半島から引き付けたのです。そこが現在のジョージタウンです。
1832年にペナンはマラッカとシンガポールとともに海峡植民地The Straits Settlementを構成しました。
こうした中で中国からペナンやそれより古く15世紀からマラッカに渡ってきた中国人はマレー人との通婚を通して次第にマレー食文化と習慣などをその伝統的中国文化に取り入れていきました。こういう海峡植民地生まれの中国人をStraits-born Chinese といい、マレーシア語ではPeranakanとも現し、一般にBabaババ(男性)Nyonyaニョニャ(女性)と呼ぶのです。
その当時、海峡植民地には中国人女性は極端に少なかったので、中国人男性はマレー人女性を妻に選び、中国慣習を残しながら生活にマレー慣習を取り入れていったのです。つまり服装、言語、食事にマレー風を取り入れています。さらには道教の実行の中にも取りいれていったと、ペナンの博物館の解説にありました。
ペナンのBabaNyonyaはその言語に(出身地言語である)福建語と英語と北部マレー語を混ぜ合わせた物を話していたようです。
そこでニョニャ料理はこのニョニャが生み出し育てた料理で、一般に辛く時には酸味より甘味が強いのです。食材料の主体は中国料理からのものを使いますが、マレー料理から香料や一部材料と料理法を取り入れたものです。ですからスパイス使用が比較的多く、材料では例ライムの葉、レモングラスなどを使用します。またニョニャ料理には、もち米、ココナツをベースに使用した甘く色とりどりのケーキKuihがつきもの。
ニョニャレストランはですからペナンとマラッカにいくつかあり、もちろんクアラルンプールにもあります。しかし数は少ないし、ニョニャ菓子Kuihは屋台と大衆食堂でも人気ですが、屋台料理でニョニャ料理専門をうたっているところはまずないのではないでしょうか。
マレーシア地元料理としてはあとユーラシアン料理なんてのもあります。ごくおおざっぱに言えば、白人とマレー人の混血子孫をユーラシアンといいますからその料理のことです。でもどれほど特徴がといわれると筆者にはよくわかりませんし、ユーラシアンレストランってあるのだろうか(Eurasian Associationという団体はありますけど)。
外国製料理で多いのはまずタイ料理で、これはマレー風タイ料理と中国風タイ料理に分かれるぐらいマレーシアになじんでおり、タイレストランはいろんな町に数多くあります。そのためか本物タイ料理とわざわざ銘打ったタイレストランもいくつかあるのです。タイ風料理の屋台もありますよ。
その次に多いのは合計すれば西欧風レストランでしょうが、民族毎の料理に別ければ日本(風)レストラン・料理店の方がずっと多いですね。特にクアラルンプールとその周辺には数十軒の店があるようです。高級なホテル内にある日本料理店から繁華街とショッピングセンターにある回転寿司、鉄板焼きの店と日本風レストランまで種類は実に豊富です。照焼きバーガー店までできました。ひょっとしたらそのうち立ち食いそば店ができるのでは。
こういう日本レストラン情報に筆者はきわめて疎いので、在住者や出張者の読者の方がずっとずっと詳しいはずです。なにせ筆者はマレーシアではまったく日本食を食べませんからね(嫌いということではありませんよ、日本国外では日本食を食べないというスタイルを20数年来貫いているだけです)。
さて西欧料理で一番多いレストランはイタリア(風)レストランですね。ピザとスパゲティーはここでも偉大な力を発揮しているのです。あとはどれも小数です。フランスレストラン、スペインレストラン、アメリカ風レストラン、ぐらいかなそれほど種類はありません。
東京の方がずっとずっと豊かな各国料理が味わえますよ。その理由はやはりマレー人がムスリムであって、食生活に制限があること、ですから本格マレーレストランは極めて数がすくない(もちろん観光当局はそんなことを認めないが現実が物語っている、マレー大衆食堂はもちろんどこにでもある)華人は絶対的に中国料理が好みであり、インド人はやはりインド料理といういうように、それぞれの自民族料理嗜好が強いことでしょう。マレーシア人は概して食への浮気がすくない国民です。この意味では日本人はたいへん浮気っぽいといえますね。筆者はその典型ですな。
あとどういう民族レストランがあるかな、インドネシアレストランはいくつかある、韓国レストランもある、これもいくつかといえる程度、アフリカレストラン、名前はあるが、実体はただの西欧風レストランですし、メキシコレストランは1,2店ありますね。その他トルコレストラン、ベトナムレストラン、そんなものかな。ギリシアレストラン?ないね。ハンガリーレストラン、ない、ビルマレストランない、カンボジアレストランない、日本に比べれば”ない”が続きます。
もちろんマクドナルドやケンタッキーフライドチキンKFCのファーストフードレストランはどの町にもあり、どの民族にも人気です。これは民族料理にはずれるから飛ばします。尚マレーシアではチキンが肉の中で一番消費量が多いので、どの民族にも菜食主義者でない限り宗教的タブーではない、そのためか KFCがたいへん人気です。日本のKFCとマレーシアのKFCのチキンは味が違うようだが、どなたか具体的にご存知の方教えて下さい。
さて上記で触れた各民族料理レストランですが、筆者はその味とサービスを評する能力と料理知識と資力を全く持ち合わせておりませんので、論評は一切避けます。グルメとは対極的人間の筆者にはレストラン批評など無理なのです。味に固執しない筆者は、わざわざ高い金を払って食べるより屋台でいいやとなってしまいます(一番の理由は資力がないのです)でも読者の中にはグルメの方が多いことでしょうから、レストラン情報を”旅の掲示板”に書き込んで、いたらないIntraasiaを補って下さいませ。お願いします。
しかし、非グルメ人間の筆者でも手を出せる分野があります、それが屋台・大衆食堂の料理の分野です。屋台料理といっても結構値段のはる物もあり、全てに評せるとは申しませんが、長年世界各国、特に東南アジア各国で様々な屋台料理を食べてきた筆者はそれなりに語ることはできます。でも自身で全く料理できないし、微妙な味を味わえないという、何でもOKの雑食家つまり生来の”食音痴”ですから、大衆食とはいえ、これを語るのは今一つ説得力に欠けるのは認めざるを得ませんなあ。
でもそんな筆者でも街歩きでは引けをまずとりませんから、その街歩きを利用して書いたのが、このコラムの表題にした次の一文です。尚これは筆者が担当した某ガイドブックのペナン編用に書いたものです。
ペナンといえばその屋台・大衆食堂の多さと豊富な料理の種類で知られている。ある地元メディアはペナンをマレーシアのグルメ首都と呼んでいるぐらいです。たしかにペナンの屋台と大衆食堂はその呼び名に値する食、大衆食という分野において、の選択の多さと適度な値段を誇っているのです。
ペナンの屋台街といえば各種の本でも必ず紹介されるガーニードライブは旅行者にも知られた場所ですが、そこだけでなくいろんな場所に屋台・大衆食堂街があってそれぞれ多くの地元の人を曵きつけているのです。その中で旅行者が訪れやすいのは、ジョージタウンの中心地にあって多くの宿があるPenang通り一帯と、そことはコムターを挟んで90度離れた方向に伸びるMacalister通り一帯にあるいくつかの屋台・大衆食堂街です。
屋台はちょっと目立たない路地に出る場合もあるし、大衆食堂の前に出る場合もある。しかし出店場所は一定している、出店場所を定めていない屋台は極めて珍しい。
屋台・大衆食堂は朝から始まるところ、夕方からしか開かないところと、料理の種類と場所によって営業時間は違います。旅行者はそういう所を訪れたらまずちょっと観察してみよう。いつみても混んでるところは、その店構えの立派さ、見かけのきれいさに関係ないことに気がつくはずです。何にしようかどこにしようかと迷ったら、思い切ってそういう混んでいる店・屋台料理を試してみるのもいいものだ。
ペナンの地元の人の味を見る目は確かだ、長年屋台・大衆料理を食べなれた人はどこがおいしいかよく知っているのです。地元の人のその鍛えられた味覚に頼って、屋台・大衆料理を是非味わってみよう。
以上
これは筆者の気に入ってる文の一つです。文が気にっいったって料理が気に入らなければ何にもならないと言われる方、とにかくペナンでは屋台・大衆食堂でその料理を味わって下さいな、きっとそのおいしさと安価さが気に入ることだと思いますよ、と答えておきましょう。
非グルメのIntraasiaが舌でなく足で書いたペナンの大衆食堂屋台案内は、旅行者・在住者のためになるページの「ペナン総合案内」 の該当項目をご覧ください。言いたいことはこの一文に込めてありますので、今回はこれで腹一杯、ごちそうさまということにしておきます。