非合法外国人労働者の問題 ・ 続 インターネット事情 ・ ラマダーンが始まる ・ ミニバスは復活するべきか
続続 インターネット事情 ・ 早まるクラブ、ディスコの閉店時間 ・ 数字で見たマレーシア ・ ハッカーとTMnet
タイとの国境に壁構築 ・ クアラルンプールのごみ回収・ シンガポール前首相がマレーシア侮辱
ランカウイ島のホームページ ・ 政府の新 Hawker 方針 ・ Singlish 映画をお薦めします
日本の正月と違ってクアラルンプールの元旦はそれほど静かな日ではありません。もちろんマレーシア全土の祝日ですから商用車やダンプーカーが道路には見られず、それにオートバイがずっと少ない分交通量は減りますが、休日を利用しての買い物と小旅行の自家用車が各ショッピングセンターの周りや行楽地では増加します。
一年の始まりということでそれなりに意味あるお休みですが、日本のようなおごそかな雰囲気はないですね。西欧諸国や他の東南アジア諸国とたいして変わらない一月一日です。簡単にいうとクリスマス休暇の続きといったところでしょう。
念のために付け加えておきますと、クリスマス12月25日はマレーシアでは休日です。イスラム教国であるのですが英国植民地であった歴史のせいでしょう。 サバ州とサラワク州のブミプトラの一部と華人の一部もキリスト教徒です。クリスマスカードを送りあう慣習もイスラム教徒である都会のマレー人の中にもあり( 田舎というより都会以外のマレー人は恐らくクリスマスカードなんて送らないでしょうが)、文具書籍店では毎年結構たくさん売られてます。 もっともそのカードの多くが西欧のデザイン、つまりそりに乗ったサンタクロースや雪の降るイラストであるのはなぜなのでしょうね?
マレーシア人にとって一月一日が最も重要なお休みでないのは、その人種構成にあります。 人口の多数派である六割近くを占めるマレー人にとっては、もちろんイスラム教の最大の宗教的祝日であるラマダーン(断食月)あけのHari Raya Puasa が一番お祝いされるし、皆が待ち望んでいます。このHari Raya Puasaには多くのマレー人は故郷へ帰ります。ちょうど日本の年末の帰郷ラッシュと同じです。
人口の3割弱を占める華人系マレーシア人は、世界の中国人に共通且つ伝統的に祝われる太陰暦の正月、つまり旧正月ですね、を一番待ち望んでます。この日はマレーシアではChinese New Year と一般に呼ばれてます。
人口の一割にも満たない少数民族のインド系マレーシア人ならヒンズー教の祭日である depaavali になります。
以上のように各民族でそれぞれ最重要な祝日が違うのですが、一月一日は宗教に関係の無い中立で聖なる意味合いを含まないお休みですね。もっともイスラム原理主義者から見れば太陽暦を使うこと自体が西洋文化の侵略にうつるかもしれませんが。
マレーシアは69年におこった人種暴動のあと、政府の民族間融和方針とブミプトラ政策のおかげで、そ後暴動はもちろん先鋭化した民族問題は一切発生していません。マハティール首相もよく言うように各民族間の協調が、東南アジアの諸国では数少ない 騒乱・暴動のまったくない平和な国となっていることはすばらしいことだ、といえますね。尚いわゆる治安法(ISA 徒呼ばれる)が時々適用されるなどの件については扱いません。いつもマレーシアの新聞をかざる悲しいニュースは、国内対立の激しい近隣諸国からのニュースとは違ったレベルのニュース、交通事故の犠牲とか台風の被害とかなのです。
8年連続高経済成長を続け、今年もそれが強く予想される東南アジアの優等国マレーシアの97年はどうのように変わっていく又は変わっていかないか、今年もこのコラムでみていきましょう。
(これは以前扱ったトピックス「バングラデシュ人問題」の続編です)
昨年末は、政府が12月31日に締め切ると広報していた三つの重要な期限がありました。
一つ目は,マレーシア全国民に携帯が義務ずけられている、 IC と呼ばれる身分証明書を新ICに書き換える期限です。何年前も前からいろんな手段で国民に通知されていたにもかかわらず、年末になってからの身分証明書登記局の混雑ぶりは相当なものがあった模様です。
2つ目は、自動車運転免許をコンピューターオンライン化するために、旧式の手書き免許証をコンピュータープリントアウトされた新形式の免許証に更新できる期限です。ずっと昔に免許証を取得した人が対象です。ここ数年取得した人ははじめから新形式の免許証がもらえますので関係ありません。 更新期間が数年もあったもかかわらず、たったこれだけの簡単なことを最後の最後まで伸ばしていた人たち数万人が、JPJと呼ばれる道路公通局に押しかけたのです。夜明け前から門の前に並び、そしてそれが例によって混乱に結びついたのです。
そして三つ目が、今回のトピックスでもある 違法(非合法)外国人労働者の届け出期限です。 これは雇用者が(企業、個人に関わらず)雇用しているか又は雇用しようとする、違法入国した外国人労働者を 移民局(Immigration Department)へ自発的に届け出れば、大体自動的に認められる、つまり密入国やビザ切れの外国人労働者の地位が合法化される臨時お助け立法のおかげです。 政府が10月からの3ヶ月に限って認めたのです。
最初のうちは雇用者の出足が悪かったようですが、だんだんと増え最後は押すな押すなのじょうたいだったと新聞は伝えています。ちょうど認められた人数の発表がありまして、何と四十万人を超したのです。
しかしこれで非法外国人労働者の問題が片付いたと思うのは大間違いで、まだマレーシアには、政府の推定では約百万人の非合法外国人労働者が働いているのです。今月から大々的のな全国的な取り締まりを始めると、政府は宣誓し、手始めに違法外国人用収容所に収容されてる一万人強の外国人を、それぞれの国へ早急に今までよりずっと速いペースで送り返しはじめました。大規模取り締まりを開始する前に収容所をまず空にしようというところです。
それにしても人口2千万人の国で労働人口の7、8パーセントをも占める彼らをどのようにして送り返すのでしょうか。
外国人労働者の占める職場は非常に偏っているので、産業によっては大変な打撃になるでしょう。
以前の「今週のマレーシア」でふれましたように、マレーシアで外国人労働に頼っている産業・職種というと、まず建設現場、ゴム園などのプランテーション農場、でしょう。建設現場から外国人を締め出したらビルやコンドミニアム建設、道路工事、空港工事などまちがいなくすべて停まってしまいます。それほど外国人に頼る比率は高いのです。
それから各種の中小企業の工場ですね。現地企業ばかりでなく日系企業でも外国人労働者の比率がかなり高いところもあります。
国家経済にあたえる影響は上記の産業ほど直接的ではないのですが、一般の人には身近なところの外国人労働者といえばお手伝いさんです。日本人や西欧人にとって、お手伝いさんを雇うなんて本当のお金持ちしかできない贅沢というところでしょうが、マレーシアではシンガポールもそうですが、Domestic helper つまりお手伝いさんを雇うことは、決して一部の裕福家庭に限られておりません。都会の中流家庭なら住み込みのお手伝いさんのひとり、ふたりを雇うことは極めて普通です。
この現象が好ましいことなのかは別にして、そうせざるを得ない理由もあります。 保育園や保育所が十分ないため、共稼ぎ夫婦には幼児の面倒見てくれるお手伝いさんが必要、事業が忙しくて家庭のことをやってる暇がない、だから炊事洗濯掃除はお手伝いさんにさせるなどなど。マレーシア人からみればまあもっともな理由でしょう。中には両親同居していて子どもの面倒は十分みれたり、一人で充分なのにふたりもお手伝いさんを住み込ませたりと、そんなケースもよくありますね。
なぜお手伝いさんの需要がそんなにあるかというと、自分の血縁家族でない者を自分たちの家やコンドミニアムやアパートに住まわせることへの抵抗感が非常にうすいことと、何といってもお手伝いさんをひとり雇う費用が安いことです。最初にエージェントに払う金は多少はるかもしれませんが、毎月の固定支払額は600リンギット前後でしょう。これだから中流家庭ならたいして負担ではありませんね。 今時600リンギットもいかない給料で家庭内労働するマレーシア人はいませんから、お手伝いさんの供給は当然国外からということになります。 一にインドネシア、二にフィリピン、三にスリランカというところでしょう。
英語紙や華語紙にはいつもお手伝いさん供給エージェントの広告がいくつか載ってます。マレーシア国内で調達できないから外から呼んでくる、外から呼ぶには手続き費用や政府に払う人頭税がかかるので、非合法にすればそれだけエージェントの利益が多くなるというところから、違法お手伝いさんの生まれる余地がでてきます。
マレーシア人に身近な外国人労働者はお手伝いさんばかりではありません。屋台や大衆食堂で皿を洗ってる人たち、ビルやショッピングセンターの清掃人、スーパーマーケットの店員などなど。日常接するいたる所に働いていますね。 そうガソリンスタンドのサービスマンにバングラデシュ人が多かったのですが、政府が規制を厳しくしたことにたんを発して、クアラルンプール一帯のガソリンスタンドは今年一月一日からセルフサービス給油になったのです。バングラデシュ人が働けないので人手不足をカバーするため、車を運転する人は自分で給油しなさい。それがいやならサービスマンの手を煩わした賃として50セント払いなさい、という規則になりました。
(これからもこの話題は追っていきます。)
以前の「今週のマレーシア」でお伝えしたように、マレーシアには2つの Internet Service Provider があります。それまで唯一の Jaring に昨年10月開始の TMnetが加わりました。 このTMnet は日本のNTT にあたるTelekom Malaysia の子会社が運営しており、これが本格営業に入った11月から、政府の号令により、二つのプロバイダーにおける電話の通話料金とインターネット接続料金が同一化されました。つまり運用の仕方と内容は多少違いますが、インターネット接続時の電話代とサービス利用料金は、どちらのプロバイダーを使っても基本的に同じということです。
さて Jaring 、もちろん筆者もメンバーです、のサービス状況ですが、これが満足とは決していえないところです。新聞の投書欄や記事にはよく 「遅い、切れる」 という不満が載ってますが、まさにその通り、筆者も夜 Jaring に接続すればむちゃくちゃ遅い上に30分に2、3回接続が切れるなんてことも決して珍しくなく、又 私どものホームページを置いてある日本のサーバーにファイルを送ろうとすると、何度もなんどもやりなおさなければならないのです。あまり時間がかかって、途中できれてしまうこともありましたので、今はもう夜間はアップロードしません。 早朝のみです。
日本の状況をよく知らないのではっきりといえないのですが、これが普通なのか多いに疑問なところです。
昨年9月頃には10万強とみられていたユーザー数が、第二プロバイダーの参入もあってこのところ急に増えて、年末には20万を超えたとみられてるおかげでしょう。
そんなところへ、このところTMnetが積極的に宣伝を開始しました。筆者のTMnet 加入経過を日記風に書いてみましょう。
1月2日 新聞でTMnet Weekend’97の広告を見る。さっそく電話してあらましを尋ねる。マレーシア第二のインターネットプロヴァイダーの TMnet にその場で加入できるとのこと。
1月4日(土曜) Subang Jaya にある TMnet のサービスセンター” House of Internet " へ行く。 そろいのTシャツを着た若い TMnetサービススタッフが訪問客の相手をしている。 隣の小ホールではPCをずらっとならべてインターネットの紹介。
時間を決めてインターネットの実演解説もあり、若者が多いが子ども連れの親子もみうけられる。 Subanng Jaya という比較的中流の多い地域のおかげだろう。インターネットのフェアーに人が集まってる。
受け付けカウンターで申込書と接続方法を簡単に書いたA4サイズ2枚の案内パンフレットをもらい、それとおまけのマクドナルドの割引券もついてた、待つこと20分、私の番になった。お金を現金で支払うと、アカウントナンバーのついた領収書とTMnet インストール用の CD-Rom 一枚を受け取る。はい、これで終わり。簡単である。その場で一切説明なし。
そこでもらった資料をよく読む。
支払いは済んだからアカウント番号を付与します、各自が自分のPCをTMnet に接続する時に簡単にできるよう、支給したCD-Romを使って下さいとのこと。最初のログインはすべて”guest' を使うのか。
「インターネットにうまくつながったら、TMnetのホームーページを開き ON-line registration してください。 そこで自分の使いたいユーザー名(アカウント名)とパスワードを申請しなさい。24時間後に使えるようになります。」
隣の小ホールへ行って、サービス係りに少し質問。「 もしよくわからなければ、ここにならべてあるパソコンを使って ユーザー名とパスワードの申請もできますよ」 とのこと。それぐらいは自分でできるから家でしましょう。
3、4軒となりにあるマクドナルドで昼食して去る。
1月5日 (日曜) もらったインターネットの接続説明パンフ( A4サイズ2枚英文)をよく読む。支給のCD−Romを使えば簡単そうだが、CDに収録されてるブラウザーは MSの Internet Exprorer 3.0 (もちろん英語バージョン)である。私はすでにエックスプローラー3.0の日本語版を使ってるので、上書きされたら大変。CD-Rom は使えない。 それにしても接続説明パンフには Netscape Navigator 2.0 と書いてあるのだが, きっと古いパンフなのであろう。
たとえ Netscape Navigator 2.0 ( 英語版)でも筆者は既に使ってるのでCD-Rom のありがたみなし。
まあ CD−Rom がなくても、Jaring に加入した時、さんざん苦労したので、ダイアルアップネットワークの接続の仕方は覚えてるから、大丈夫と TMnet接続の ショートカット をこしらえる。もらった臨時のパスワード ”guest" で接続成功。TMnet のホームページで 指示に従って、ONline 登録。Jaring よりわかりやすい、うれしいことにマレーシア語と英語の二言語で指示してある。こうでなくちゃ。もちろんメールサーバーにつながらないのでメールはおあずけである。 24時間待てばすべて使える用になるはず!
1月6日 夕方 すでに24時間はとっくに過ぎてる。TMnet 接続の ショートカット を何度も何度もクリックし、指定電話番号の1515を呼ぶが、名前とパスワード確認の段階で拒否されてしまう。 おかしいな、 まちがってるはずないのに。TMnet ヘルプディスクへ電話。 「 混んでて使えないかもしれない」 との返事。そんなものかな? 夜も何度かためすが成功せず。あきらめて Jaring に接続。
1月7日 朝 さらにTMnet接続 を試すが結果は昨日と同じ。仕方なく TMnet サポートに E-mail ’help” を送る。
夜帰宅するとメールの返事が届いていた。「あまり多くの人が申し込んだため、TMnet 自体が対応できず。今しばらくのご辛抱をとのこと。8日にサーバーを止めて事態にに対処する などなど」
まあこんなものでしょう、仕方ない待つしかない。
1月8日 朝 TMnet接続は依然としてだめ。
夜 試すと初めて接続に成功。 やれやれ
以上が筆者二つ目のプロバイダー加入経過です。当分二つを使い比べていくつもりですよ。
TMnet の料金は一年間のメンバー加入料金 49リンギット に加えて、下記のとおり。
利用者別 |
電話代 |
接続料金 |
合計 |
個人加入者 |
毎分1.5 セント |
毎分1.0 セント |
毎分 2.5 セント |
団体加入者 |
毎分1.5 セント |
毎分2.5 セント |
毎分 4.0 セント |
Jaring の方は加入料金が少し高いのですが、上記と同じ料金の従量制に加えて、接続時間無制限( 電話代はもちろん別請求) の月50リンギットの定額料金制があります。月60時間以上使えば jaring のほうが得なのですが、これは 電話番号1511 という特別番号に接続した場合のことで、普通の市内通話接続だとTMnet の方が結果的に安くなります。Jaring のノッドにつながる普通の電話番号を使うと インターネット割引ではなく普通の電話料金が適用されますから。
筆者の所はどういうわけか この特別番号1511につながらないのです。つまり普通の電話料金適用です。
Jaringと Telekom に聞いても助けてくれません。お互いに「 1511は我が方の管轄でない」 とのことなので、問題つまりわたしが1511を利用できないこと、は一向に解決しないのです。もう あきらめましたよ。
参考) Jaring のURLは www.jaring.my/jaring/ です・ TMnet のURLは www.tm.net.my です。
Bulan Puasa 又は Bulan Ramadan と呼ばれている断食月が今月10日から始まりました。 日の出から日の入りまで飲食を一切控えるというこのイスラム教の 五行の一つに、世界中のイスラム教徒(ムスリム)が入るわけです。2月の9日に予定されてるPuasa( 断食)明けの祝日、Hari Raya Puasa までマレー人即イスラム教徒はこれに従わなければなりません。もし日中に飲食すればイスラム教上の罪になるわけですから(berdosa)、罰せられます。
ただしマレーシア人口の4割強を占める他の民族、華人やインド人やサバ州とサラワク州の非ムスリムブミプトラはもちろんこの Puasa に従う必要はありません。( イスラム教への改宗者は除く)
クアラルンプールやジョージタウンのような大都会では、昼飯時に大衆食堂や屋台、レストランがいっせいにしまってしまうようなことはまったくありませんが、田舎のマレー人村(Kampung)や小さな町では、店が閉まって食べるところが見つからないなんてことになるでしょう。もっともこういう所へ普通の外国人旅行者が行くことはめったにありませんから、関係ないでしょうが。
ランカウイ島ペナン島などの有名行楽島では外国人旅行者も多いから、ホテルのレストランはいつも開いてるし街にレストランやカフェがたくさんありますから、外国人や非ムスリムにはほとんど影響ないですね。
夕方断食の終わる(buka puasaという)時間前になると、どこのマレー食堂、マレー屋台、マレーレストランも大勢のマレー人が、自分の料理をすでに皿に盛り、飲み物を用意しテーブルについて、buka puasa の合図を今か今かと待っています。
毎日の buka puasa 時間は新聞などであらかじめ知らされていますし、ラジオ、テレビがいっせいにbuka puasaを放送しますので、合図とともに皆いっせいに食べ始めるのです。マクドナルドやマレーシアで大変人気のケンタっキーフライドチキンのようなファーストフ-ドの店でもまったく同じ光景が見られます。
またこの時期の夕方になると街の路地では、いつもの屋台だけでなくBulan Puasa のみに限って認められた臨時の屋台がたくさんオープンしてます。ビジネス街、ショッピングセンターやバスターミナルの付近など、マレー人がたくさんあつまりそうな所ならたいていこんな店に出会います。 buka puasa 用の甘いおかしや飲み物、夕食のおかずなどあれこれとならべられた品を、帰宅する人たちが次から次と立ち寄り買っていきます。12時間あまりの飲まず食わずの後の 一口(飲み)はたとえようのない美味なのか、ムスリムとして当然の行だからとりたてて感激しないのか、筆者にはわかりませんが。
今年は去年に続いて、中国正月2月7日8日の直後が Hari Raya Puasa 9日10日になります。マレーシアの二大祝日が一挙にやってくることから、少なくとも一週間は工場も会社も休みになるので、経済活動が一時停止すると言ってもあながちおおげさではありません。つまりその一週間はマレーシア全土が帰郷ラッシュに始まりそして帰宅ラッシュに見舞われるのです。もちろんたくさんの人が近隣諸国を含めて旅行に出かけますよ。
クアラルンプールはしばし静かになるのですが、店も閉まってしまい、外食派は苦労します。だから筆者も例年マレーシアを離れるのです。
筆者が、クアラルンプール(KLと普通呼びます)の公共交通システムについて感じることは、「まあ便利で使いやすいな」 ということです。自分の足で外国を回ったことのない方にとってこれは意外な見方かもしれませんが、もちろん東京と比較しているのではなく、他の発展途上国と比べてです。
ミニバス( 詳しくは旅行案内のページをご覧ください)がKLとその近郊を縦横に走り、加えて新しい Intra Kota バスが増えだし、TongFong Bas、S.J.Kunderaan 、Park May、 City Liner などの私営のバス会社がいくつか入り乱れて、市内から近郊の町を結んでいます。この私営バスもここ数年冷房バスが増えたため、快適に乗車できるようになりました。その他に 中距離バスがPuduRaya、klang Bas station からたくさんでています。
又タクシー料金は東南アジアでも1、2を争う低料金ですからそれほど高価な乗り物ではありません。 「まあ便利で使いやすいな」 ということがわかってもらえるでしょうか?
それにマレーシア語が英語と同じ数のアルファベットを使うため、よその国から来ても行き先は簡単に読めるという心理的要因もありますね。
政府が力を入れている、ごく最近の12月から LRT ( 詳しくは旅行案内のページをご覧ください) が一路線運行を開始したこともあり、KLの交通事情は大きくかわりつつあるのです。
その変わりつつあるのに大きく寄与する一つが、ミニバスが廃止される運命にあることです。道路交通局はこの1月1日からKL一帯を走るミニバスの免許の更新を認めなくなり、そのためミニバスの数が一挙に400台以上も減りました。これは劇的な減少です。街のあちこちをぼうじゃくぶじんに走っていたピンクのミニバスがすっかり少なくなり、それに取って代わる予定の、市政府肝いりのコンソーシアムが運行する Intra Kota バスが目につくのです。
このことがKL市内と市外から通勤する多くの人たち、特に自家用車を持てない低所得者層を直撃したのです。なぜかといいますと、ミニバスが減った分だけIntra Kota バスが増えなかったのです。新聞の伝えるところによると わずか 20台余りの増加だそうです。 Intra Kota バスはミニタイプと普通のバスサイズの両方がありますので、一台あたりの乗車人数はミニバスより多いのですが、いかんせん400台減って、片や20台しか増えないのでは結果は容易に想像できますね。多くの通勤者が会社に遅れたり、学校の開始時間に間に合わなかったりと不満がいっぱい、と新聞はいっせいにこのことを報道しています。
ミニバスを引き継ぐはずの intra kotaバス側はバスが足らないとか、運転手が充分確保できなかったとか、渋滞が激しくて予定通り運行できないとかの、ふざけた言い訳をしたので、利用客の怒りはおさまりません。計画不足、責任不足な、ありそうなマレーシア的風潮(思考方式)ですね。
そこで当然のごとくでてきたのが、ミニバス復活論です。零細オーナーが所有するミニバスを、雇われたコミッションベースの運転手と車掌のペアーが運行するするせいもあり、その運転ぶりはすべての人に不評ですが、速い、安いため固定利用者が減りません。
参考までに ミニバスは60セント、Intra Kota バスは90セントの前払いワンマンバスですから乗るのに時間がかかります。またミニバスしか運行してない地区もまだたくさんあり、車やバイクがなければ否応なしにミニバスを利用するしかありません。図体の大きい紳士的な( あくまでもマレーシア人の感覚からいえばですが)Intra Kota バスに対して、乱暴だが小回りのきくミニバスという図式です。普通のマレーシア人の思考からいえば安かろう速かろうなら許せる、ということでしょうね。
でもちょっとまってください。総人口が日本の人口の6分の1なのに、昨年一年間の交通事故の死者が6千人を超す交通事故多発国のマレーシアで、度重なる取り締まりにもかかわらず、こういう道路交通マナーをいっさい無視したミニバスの運行を認め続けることは、マレーシア人の運転意識に悪影響を与え続けることにしかなりません。ただでさえ交通マナーの悪い「我先現象」 の顕著なマレーシア人は、あんなミニバスが許されるなら俺だってと 、交通警官がいなければ赤信号無視、割り込み、左から追い越し、一方通行無視などなどあげたらきりがありません。
筆者は在留日本人としては極めてまれな、マレーシアに来て以来ずっとミニバスを利用してきた一人です。 Intra kota のなかったミニバス全盛時の4、5年前には、全路線の3分の2は乗ったぐらい愛用しましたし、いまでも日曜などはミニバスのお世話になります。
しかし、いやそれだからこそミニバスの復活に反対するのです。乗り慣れればミニバスは本当に便利です。しかし安かろう速かろうというこの風潮をいつまでも許し続けることは、マレーシアの交通システムとそれよりももっと重要である”人命軽視の運転マナーを変えていくこと” につながらないのです。ちょっと不便になったし、料金が少し高いけど、Intra Kotaを利用し育てていくのが、最善でなくても次善だと思うのです。もちろんそれには、政府の道路交通政策がどうのこうのということは別にして、 まずIntrakota が責任逃れの体質を改め、早急に増車することが前提条件ですが。
ミニバス問題はまだまだ波乱がありそうです。
以前のこのコラムでお伝えした 、第二のインターネットプロバイダー TMnet に接続してから10日余りたちましたが、その後のTMnet はっきり言ってまだ期待はずれですね。
マレーシアではきわめて普通なことですが、ショッピングセンター( 当地では Shopping Complex と呼ばれてます) の建設が進み概観がほぼ出来上り、電気や水道が使えるようになると、内部でどんなに工事をしてても仮オープンします。筆者は「仮」 という言葉を使いましたが、ショッピングセンター側は「オープン」といってます。 つまり一部であろうと、ショッピングセンターが使えるようになったのだからオープンというのでしょう。
一部?大部分の間違いじゃないの? いいえ、まさに一部なのです。普通大きなショッピングセンターは、有名なスーパーマーケットが必ずテナントとして入居しますから、このスーパーマーケットがオープンできる状態になると、何月何日にオープンという宣伝を打つのです。 4、5階だての建物の地下か一階にスーパーマーケットは普通陣取りますから、駐車場からそこまでの通路や階段は一応人が通れるようになります。スーパーマーケットがある階でさえまだ入居してるテナントはわずかですから、あちこちで内装工事をしてます。
でその他の階はというと、まだお客が歩ける状態ではありません。工事人がセメントをこねたり、天井工事、電気工事と文字通り建築中です。 そんな 危ないではないかと思うのが普通ですよね。 だからその近くに寄らない方がいいのです。スーパーマーケットで買い物したら、余分な所はのぞかずにまっすぐ帰った方が無難ですね。駐車場(どこでも大変大きく作られてます)でも気をつけてください。工事の車が出入りし、どこから出ていいのかの表示さえ申し訳程度にはられてるだけなので、初めて訪れた客は右往左往、一方通行などおかまいなしですから。
昨日筆者は、先日マハティール首相がオープン式に招かれたと報道された Mines Shopping Fair という大きなショッピングセンターに初めて行ってみたのですが、状況は他のいくつかのショッピングセンターがオープンした時とまったくおなじ、まだ建設中のビルでした。埃っぽく塗料の臭いが漂うなかを歩くと、巨大なハイパーマーケットは確かに営業してますが、あとのテナントは5、6店だけ、おそらく全テナントは100を超すでしょうから、一割にも満たないオープンです。大部分のテナントがそろうのは、多分半年後でしょうね!
余談ですがこのMines という名前がつくのは、この付近一帯のデベロッパーの代名詞です。世界最大級の元錫鉱山採掘あとの人造湖の周りに、ずっと以前に完成したテーマパークとゴルフ場、現在建設中のビジネスビル、ホテル、コンドミニアムなど、広大な土地を一大開発地にするべく現在急ピッチで工事が進められてます。この人造湖に流れる込む運河が上記のショッピングセンターの中を通過していくように設計されてます。これは世界ではじめてとか。この運河部分はできあがっており、発案者のマハティール首相のセンターオープンに間に合ったようです。MInes 一帯はKLから Serembang へ向かうハイウエーの左手にその目立つ姿を見せています。
さてたいへん前置きが長くなりましたが、何を言いたいのかといいますと、要するに TMnetの開始は、マレーシアで普通に行われているショッピングセンターのオープンと同じだということです。概観は一応出来上ったが内部はまだまだ工事中、これから入るテナント(つまりインターネットユーザー)のための店舗部分も内装工事中 (つまり対応中)なのですね。駐車場も十分な出入り口指示なし(つまりインターネット接続線も配線中)ですから、お客が道に迷います。(つまりうまく接続できない)。 メインになるスーパーマーケットは一応営業してるが(サーバーなどは設置したが)、エレベーターはまだ一部しか動いてない(e-mail も十分に機能していない)状態なのです。
TMnetのその後を又日記風に記してみましょう。、
1月10日 URLの読み込みが大変遅い。Jaring の方がずっと速い。
1月12日 TMnet 経由だといろんなサイトになかなかつながらないので、e-mail を打って、Proxy server の設定をした方がいいのか、しない方がいいのかをたずねる。しかし配達不能でメールが返ってきてしまう。
1月14日 TMnet よりお知らせのメールが届く。「国際接続線の一つがダウンしたので、あしからず。なお復旧は1月18日になる見込み。」 ええ!4日もかかるのか。
1月16日 TMnet にはつながるが、接続がすぐ切れてしまう。どうしてだろう。 もう一度サポートに E-mail を出す。おかしいな、また配達不能だ。
1月17日 一応接続は問題なしなので、もう一度proxy serverに関しての質問をメールするが、またまた配達不能。まったくどうなってるの?
新聞の記事によれば、TMnetは昨年末には6万人の利用者対応するといってたのに、実際はその半分しか対応力がととのわず、その結果多くのユーザーがTMnetに失望してる、とのことです。筆者だけではないことがよくわかった。又その記事は、TMnet最高責任者の言葉を伝えて、「利用者が急に増えたのでTMnet側の対応が間に合わない、もう少しがまんしてください。早急にサーバーも増やしますとか・・・・・・」
なにおかいわんやである。 TMnet は月初めにしきりに加入を呼びかける宣伝をしていたではないか。それで予想以上にユーザーが増えたから対応できないとはどうなってるの、といいたくなります。
まあショッピングセンターのオープンと同じでTMnetは仮オープンと考え、すべてが整う半年後を気長にまちますか。
最近クアラルンプール市当局は市内の酒類を扱う店と遊戯及び娯楽施設の閉店時間を午前1時にすることを決め、一週間もおかずに1月中旬よりこの命令は実施にうつされました。対象とするのは、カラOKクラブ、ラウンジ、ディスコ、パブ、キャバレーなど一般にいう飲み屋すべてとビデオゲームセンターやビリヤード場などの遊戯場すべてです。
もちろんカラOKクラブやパブのオーナーやその組合は大反対ですが、今までの経験からいって、こういう意見はなかなか市当局の受け付けるところではないのです。 マレーシア社会を犯す社会害悪と広がる麻薬汚染に対処しその撲滅を目指すのが市当局の目的ですから、オーナーたちも趣旨には反対できません。
オーナーたちは、外国人観光客が主体の市中心部の店はもっと遅くまで営業しても問題無いとか、外国人観光客投資客が減るとかの取って付けた理由で、市当局に反対の陳情や声を上げてるそうですが、なぜそういう店は1時に占めなければならないのかという本質的な議論はきかれません。
この件についてはクアラルンプールで問題になる前に、すでに隣のペタリンジャヤ市ではパブ、カラオケバーの営業時間を夜12時までにする( 取り締まり不足であまり守られてないようですが)ことが決められており、またこのコラムを書いてる間にも、スランゴール州当局は、娯楽施設と酒場の営業時間は夜12時までにする方針を堅持するし、深夜映画館も12時で終わらなければならないと決めた、と新聞は報じてます。
酒場や娯楽施設で遊んでもかまわないが、家族といっしょに過ごす時間をもっととるように、またあまり遅くならないうちに帰宅して寝なさい、という趣旨です。
いずれにせよこの発想の元には、イスラム教徒中心の市当局と華人系や外国人が大多数を占める上記のオーナーとの思想の根本的違いも無視できないところでしょう。
つい数日前には今度は副内務大臣の発言が伝えられました。政府はマレーシア社会をゆるがす問題、つまり非合法外国人労働者問題と広がる麻薬汚染と若者層に広がる社会害悪、この3問題解決に全力を尽くすというのです。前々から政府はこの問題解決に努力してきたが一向に解決しないので、今度こそは全国的に取り組むべく、内閣の指示も各州に伝えたとのことです。ちなみに内務大臣はマハティール首相が兼務しています。
非合法外国人労働者に関しては、昨年末の免除期間終了に続いて、1月31日までに自首しろそうすれば自国へ帰還になるが罰せられはしない、という最後通告がすでに出され、2月1日に新法律が実施されるのを待って、全国的な一斉大取り締まりを開始すると、盛んに警告しています。今回の法律は相当厳しいもので、1度強制送還されて再度マレーシアに密入国したらムチ打ち刑が待ってますし、初めて雇用者側にも罰則が適用されるのです。今のところどのように実行されるかは関係者意外にはわかりませんが。
麻薬問題にたいしてはマレーシア政府の対応はシンガポールにも匹敵する世界でも厳しい方で、まず長期間の懲役刑をくらい、売買や所持の量が多量であれば死刑が執行されます。それでもなかなか撲滅は難しいようです。
社会害悪が何かという問題はあまり深く議論されてないようで、漠然とマレーシア人として振る舞うべき道徳に反する行動、つまり酒を飲んで夜遊びしたり、ギャンブルをしたり、不適切な男女交際したり、ポルノをみたり、西欧文化に無批判にそまった行動を取る(服装、音楽、髪型などの面で)などがそのおもなもののようです。
どこまでが不適切な交際かとか何をもってポルノというのかの基準は、日本の基準からいえば比較にならないほど厳しいものです。まあこれを現代日本の青年に適用したら、確実に8、9割がたはあてはまるでしょう。
尚付け加えておきますと、クアラルンプールのナイトスポットつまり飲み屋やディスコは、市当局の取り締まりが不十分なことをとらえて、閉店時間午前1時を守っているところは少ない、と新聞は伝えてます。ありそうな光景ですね。
初めてクアラルンプールを訪問された方などは、多分クアラルンプールの都会さに驚き、また西洋的雰囲気さえもしばし感じられることと思います。 有名なブキットビンタン街などは夜遅くまでナイトスポットの灯が消えず高級ショップが店をならべています。街を行く人々の服装も都会ファッションそのものです。世界のどこの大都市にもある、観光客向けの顔と普段の本来の顔の間には結構大きな違いがあるものですよね。
きらびやかで喧騒のクアラルンプールの街だけ見ても、クアラルンプール、スランゴール州を治める人たちの方針や思想を感じることはなかなか難しいでしょうが、マレーシア支配政党である UMNO の底流にながれるイスラム思想が、どのようにマレーシア社会に反映されているかを考えてみるのも、時にはいかがでしょうか?
マレーシアの総人口は 1980万人 男女比率は意外なことに 男が多くて男102 に対して 女100 です。
民族構成をみると、1220万人のブミプトラ中 マレー人が1000万人 つまりちょうど50%を占めるのです。
非マレー人ブミプトラ、そのほとんどがサバ州とサラワク州の少数民族人又はその出身者ですが、220万人、つまり人口の11%を占めます。ちなみにサバ州とサラワク州の合計人口は約400万人です。
次にマレーシア第二の民族である華人は537万人 つまり27% も占めるのです。 東南アジア諸国の中で、華人系住民のその国の総人口に対する比率が2番目に高いのです。一番の島国シンガポールは例外的に比率が極端に高いのですが、人口比が10%を超えるのはシンガポールとマレーシアしかありません。
マレーシアでも各州によって比率が随分違います。華人系の州人口比が5割を超えるのはペナン州だけです。従ってペナン州の州首相はマレーシアで唯一の華人です。クアラルンプールとサバ州も高いほうです。反対に
東海岸はどの州もずっと低くて、1割以下です。
マレーシアの主要構成民族であるインド系は 152万人、8%弱というところですから意外に少ないですね。この理由はクアラルンプールなど西海岸には比較的多いのですが、東海岸とサバ州やサラワク州は極端に少ないので、総人口に対する比が1割に満たないわけです。
残りの66万人程、4パーセントはユーラシアンと呼ばれるヨーロッパ系とかその他の民族ですね。
最後に、マレーシア人ではなくマレーシアに住む人つまり外国人は140万人ほどだそうです。
以上でもおわかりのように、マレーシアは多民族国家なのです。それも政治力を握る中心民族のマレー人がかろうじて人口の半数を占めることから、隣国のタイ、シンガポールとは違った構造です。
なお以上の数字には、当然ながら、問題の非合法外国人労働者数百万人は含まれてません。
追記: 人口を年齢別で見ると、マレーシアは若い構成です。1歳から14歳までが約3分の1を占め、15歳から49歳までが約2分の1を占めます。60歳以上はわずか 6%です。
経済指標だけながめてもなかなかその国の様子はわかってこないものですが、ひとつの目安としてご覧ください。
マレーシア経済の成長は、 91年から96年までの実質国内総生産成長率 は年平均8.6%という高成長を保っています。生活者としても、確かに高成長してるなという実感がありますね。クアラルンプールなどでは至る所でビルや道路が建設され、コンドミニアムや大きなショッピングセンターが次々にオープンするし、政府の巨大プロジェクトは片手で数え切れないほどあります。また失業者はみあたらず、都市では中流層があきらかに増えてます。
では同時期の消費者物価上昇率はとみると、 年平均3.6% です。この数字は生活実感と少し離れてますね。
日常の食費や市内交通費はざっとかんがえても年10%ぐらい上がってるはずですから。でも消費者物価は日本でもそうですが、実感よりも普通低く感じます。
又もう一つの理由は,自家用車や家屋など高額財産財がこの指数にあまり反映されてないことのようです。
マレーシアで日本より高いのはまず自家用車といわれるくらい、自家用車は絶対的にも(日本との)相対的にも高価です。 トヨタのカローラ1600ccが 8万リンギットつまり400万円弱もしますから、国産車のプロトン車でも5から6万リンギット前後つまり200から240万円弱、やっぱり高いのです。
建て売り住宅やマンションの価格自体は日本の大都会よりは安いのですが、所得比からいえば、マレーシアの方が高くなりますね。
マレーシアは世界貿易番付のベスト20に入る貿易国ですから、通貨の対外交換率の面から検証してみましょう。その国の通貨が世界の経済事情からかけ離れて設定されていると、その国内経済に不自然な影響を及ぼしますね。例えば、ブラックマーケットが発生したり、成長率のかさあげ、などに結びつきます。マレーシアにはもちろんブラックマーケットなど存在しませんから、対外通貨交換率がそれほど恣意的に決められているとは思えません。
貿易していく以上主要通貨との交換率は非常に大きなウエートを占めるはずです。 そこで1980年と 現在つまり1997年1月のマレーシアリンギットの対米ドル、対円、対シンガポールドル交換率は
通貨 |
1980年 |
1997年 |
16年間の変動率 |
US$ |
2.21 |
2.49 |
12%下落 |
Yen(100) |
1.09 |
2.15 |
100%下落 |
Sin$ |
1.59 |
1.78 |
12%下落 |
私どもがマレーシアを留守にしていた先週( 2月第4周)のことです、マレーシア第二のインターネットプロバイダー TMnetのホームページがハッカーによっていたずらがきされたのです。( TMnet についてはこれまでの今週のマレーシアをご覧ください) それも一度ならず二度もなのです。
新聞はいたずら書きされた画面の写真をつけて報道しています。一回目は 「 このページはハッカーに侵入されました 」 This site has been Hacked!!! というメッセージが深夜TMnet自身のホームページに書き加えられ、それが朝まで発見されなくて、翌日TMnetの責任者がこういう事は二度と起こらないと、テレビで言明しました。ところがその12時間後にまた同じホームページがハッカーにいたずらがきされました。 ” This Site has been Hacked Again ! " というメッセージが書き加えられたのです。 その時は時間が日中だったせいもあり、TMnetはただちに発見してWeb サーバー自体の運営を半日も止めてしまいました。
実害はこの程度なので大したことはなくまたお金が絡んだとかのこともないのですが、マレーシアTelekom(日本のNTTにあたる) の運営するTMnetの信用はがた落ちです。インターネットの通信上のセキュリティー保持はどこでも最重要事項のはずですが、第三者が簡単に他人のホームページやe-mailに侵入できるような セキュリティーでは プロバイダーとしては失格でしょうね。
このできごとがプロのハッカーによる仕業なのか単なるマニアのお遊びなのかは、いまだにわからずじまいだそうです、またそんなことは重要ではありません、これがTMnet に対する警鐘となるといいのですが。
わたしもTMnet の会員なのでこれまでにもTMnetの状況をこの場でお伝えしてきました。まだまだ マレーシア第一のプロバイダーのJaring に比べるとスピードが遅く、時々つながらないことがありますので、私はJaring をメインに使ってます。TMnetは今回のハッカーの件に関して、 会員宛てのメールで 遺憾の意を表すようなことをいまだにしていないのが残念ですね。
サーバーをとめたり、ハッカーに侵入されたら、ただちにその事について会員宛てにお知らせをだすのがプロバイダーの勤めだと思うのですが、日本ではどうなのでしょうか?
Jaring は最近会員へのメールによるお知らせで、日本のABONE Network と提携し、通信ラインが太くなった(速くなるのかな)ことを伝えました。 今までマレーシアからアジア諸国へのインターネット交信の際、今まではわざわざ米国経由であったのがこれからはそうする必要がなくなり、そのため米国のサーバーへの交信負担がずっと軽くなるとのことです。日本向けに発信してる私としては、マレーシアと日本をつなぐインターネットのパイプが太くなったと考えていいのかな、うれしいことですね。
マレー半島の中間部で接するマレーシアとタイの国境線は約650kmになります。旅行者が普通利用する国境検問所は Perlis 州の Padang Besar か Kedah 州の Bukit Kayu Hitam でしょう。東海岸側の Kelantan 州にある Sungai Golok はあまり一般旅行者は利用しませんが、外国人にも門は開かれています。マレーシアとタイの国境は流れる河の中間地点にあり、2つの国の検問所を結ぶ橋がその上に渡されています。この橋を自分の足で歩いて渡ると、国境を越える実感がわいてきますよ。
以上の他にも両国の国境検問所はいくつかありますが、外国人 つまりマレーシア人かタイ人以外 は通過できない山間部の検問所もなかにはあるようです。詳しくは私も知りません。
さて,この国境線の一部にマレーシアが構築していた壁が少し前完成したのです。 Perlis 州側に長さ21Km、Kedah州側に長さ6Kmの高さ2.4m の文字どおり国境の壁が出来あがったわけです。
マレーシア・タイ国境間に壁を構築? マラヤ共産党が活発に活動していた50年代60年代ならいざ知らず、なぜ今なのでしょうか? 現在のタイ、マレーシア間の国境問題は昔のそれではなく、いわずとしれた物品の密輸と人の密輸つまり非合法外国人労働者のマレーシア密入国なのです。
世界中至る所で起こっているように、隣あった国国の間に大きな経済格差がある場合、当然経済的に貧しい国の方から豊かな隣国へ出稼ぎ労働がおこります。
マレーシアとタイの間にはそれほどというよりほとんど経済格差はありませんし、またタイで失業率が極端に高いわけでもないのに、なぜ多くの非合法労働者がタイからマレーシアへ陸路入国してきた、又しようとしているのでしょうか? 実はこの非合法労働者の大部分はタイ人ではなく、近隣の発展途上諸国の人たちなのです。(密入国ルートは陸路だけでなく、インドネシア人はスマトラ島からボートで半島西海岸へとか、フィリピンからもボートでサバ州へといろいろありますが、ここではタイ・マレーシア国境にしぼります)
昨年この国境線で捕まった8千人を超える密入国者の国籍を多い順に記しますと 、バングラデシュ、ミャンマー、インド、パキスタン、ネパールとなります。各国で暗躍するシンジケートの手にによって、これらの国々から絶え間なく密入国者が、タイ経由でマレーシアに入って来るのです。マレーシアの出入国管理当局は、常時数千人の密入国予備軍がタイマレーシア国境付近でその時期を待っている、と推測しているぐらいです。
上記でのべたような経過から、この国境の壁は構築されたわけです。9年連続のマレーシア経済の高成長と、それによるブルーカラー労働者の極端な不足、マレーシア国民自身が安易に外国人労働者を受け入れる下地があることなどから、非合法外国人労働者の需要は至る所にころがっているわけです。いや少なくとも非常に厳しい非合法外国人労働者取り締まり法が昨年末に成立するまではです。
タイ・マレーシア国境線の壁は総延長わずか30km に満たないのですが、密入国者の主要越境地点に沿って構築されているので、密入国防止に大きな期待がかけられているそうです。
また、将来この壁をどんどん伸ばしていくのかの質問にたいして、両国国境線は奥深い熱帯ジャングルや険しい山間部をも通っているので、そんな場所からは密入国者もおいそれとはマレーシアに入ってこれない、とのマレーシア政府高官の説明がありました。
正確な日にちは忘れましたが、今年の1月からクアラルンプールのごみ回収が、それまでの市役所の一部門つまり公共企業体から、ごみ回収会社つまり私企業の手に移されました。 以前からクアラルンプール一帯のごみ回収についてはその非能率さと不徹底さが指摘されていましたし、また政府のすすめる公共企業体の私企業への衣替え政策に沿ったものともいえるでしょう。
ただごみ回収の不徹底といっっても、読者の方にはよくわからないでしょうから簡単に説明しましょう。ごみ捨て場のごみ回収が遅れるか不定期的なので、ごみがいつまでも置き去りにされており、その一帯がごみの山になった状態が一つと、市民つまり皆がめったやたらに四六時中ごみ捨て場にごみを捨てていくので、いつもごみ捨て場一帯からごみが消えることがないのがもう一つです、ごみ回収の不徹底とはこの二つの状態をいいます。
クアラルンプールでは一般に( 住宅地などで別の回収方法もありますが)、ごみ捨て場にはかなり大きな鉄製の四角い箱が複数個置いてあり、その中にごみを捨てるようになってますが、捨てるごみの量が多いことのほかに、箱の中にきちんと捨てないため、むしろこの理由の方が大きい、ごみ捨て場一帯のちらかり具合は相当なものです。
ごみ捨て場がきめこまかに設置されてないから、一つ一つのごみ捨て場の箱は結構大きくなっており、その中と周りにごみが一杯ちらかった状態を想像してください。マレーシアは熱帯ですから、ごみの悪臭が一帯にいつも漂うわけです。尚マレーシアではごみの分別回収がまだ実施されてない( ごくごく一部では試験的になされてます)ので、ごみはまさになんでもありのゴミ なのです。
更にごみ捨ての状況を悪くしていることに、市の決めたごみ捨て場でないところにごみを捨てる悪癖がはびこっていることです。ある程度の規模になるごみの違法投棄場は、市内に百個所以上もあるといわれてます。こうなるとほんの一部の人がそこへ捨てている、という状況ではまったくありませんね。多くの人が本当に多くの人が、道路であろうと住宅の裏であろうと溝ののなかであろうと、そこらじゅうにぽいとごみを捨ててしまうのですね。私もしょっちゅう利用する、ホーカーといわれる屋台や仮設店舗の飲食店はごみ捨てマナーの悪さで有名です。
上記で悪癖と書きましたが、まことに残念ながらマレーシア人(クアラルンプール市民)の公共道徳の欠如を象徴する一面といえます。
さて少しばかりクアラルンプールの悪口を書きましたが、これは筆者の偏見ではありません。上記で述べたごみ回収を請け負うようになった私企業が、最近新聞に全面広告を出しましたので、皆さんにおめにかけましょう。この会社は名前をAlam Flora Sdn.Bhd. といいます。 無理に訳すと 自然又は大地の植物(Sdn Bhd は私会社を表す)という意味ですが、ごみ回収業者としてはしゃれた名前といえますね。
尚ずっと以前このコラムで少しふれた下水道処理会社の社名は INDAH WATER 、きれいな水という意味ですから、マレーシアの環境保全会社の社名はしゃれているといえませんか?
左に示しました広告ではゴミ箱君が訴えてます。和訳しますと「 私、Flora といいます。今度、みなさんがマレーシアを再びきれいにするのをお手伝いしにきました。でもまずみなさんの協力がほしいのです。ごみはちゃんと決められた所に、つまり私の中に入れてください。簡単ですよね、だからそうしましょう。もっときれいな環境のためにね。」
となります。いいアイデアの広告ですね。 でもどれぐらいの人が協力してあげるのでしょうか?
シンガポールは時々マレーシアに問題をなげかけます。今回の件(3月)はきっと日本の新聞でも報じられたことと思いますが、少しその中身をみてみましょう。
シンガポールの前首相で且つ現在も閣内で上級相の地位を保持するリークアンユーが、マレーシアのジョーホール州(シンガポールから橋を渡ればすぐの隣です)について、「 そこは銃の打ち合いや強盗・襲撃や自動車盗難で悪名高い 」 と表現したのです。
実はこれは、シンガポール政府を鋭く批判する野党候補者が、一月に行われた総選挙後、身の危険を理由にジョーホール州に逃げた件で、リー前首相が彼をシンガポールの裁判所に訴えたさいの法廷宣誓口述書の一節です。さらにつづけて 「(シンガポールにいると)生命に危険を感じるといってる者が(つまりこの候補者)よりによってジョーホール州のような所へ行くのはナンセンスだ」とまでいってます。
このことがマスコミに知れたとたん、当然ながらマレーシア政府は強い反発と非難を表明したのです。リー前首相の宣誓口述書は直接にマレーシアを非難する目的ではなかったにしろ、こんな表現を聞かされたら、マレーシア人だったら当然反発するでしょう。ましてやそれが、シンガポール独立以来長年首相を務め、いまだに実力者であるリークアンユーならなおさらでしょう。 外務大臣はシンガポール政府にこの件で声明と陳謝を要求し、またアヌワール副首相は「マレーシアは常にいままでずっと良い隣国であるしシンガポールには親切に対応してきたのに、これには 驚きひどいと感じる] といったそうです。
与党だけでなく野党も一斉にリー前首相を強く非難し、各新聞は第一面に、リークアンユーよあやまりなさい( SAY SORRY)という見出しを掲げました。
一国の最高実力者が隣国の一州を表して 危険だといえば、これはもう最高の侮辱ですね。
その後リー前首相は、自分の報道官を通じて3月13日に声明を発表しました。「 マレーシアを攻撃するような意図は全くないので 結果としてマレーシア政府と国民に与えてしまったことに陳謝する」 と。
それに対してマハティール首相はその談話のなかで、「 リー前首相はたとえその口実書を公にするつもりはなかったにしろ、彼の言葉はマレーシア人の心を傷付けたことは事実である」 などと非難し、シンガポールに対する失望感を示したのです。
さて以上が、まだ続くかもしれませんが、ことの次第です。国の指導者だけでなく、マレーシアの新聞にはすでにリー前首相を非難する投書がのりはじめました。
これをマレーシア、シンガポール両国以外の外国人の視点からみてみましょう。 シンガポールで暮らしたりシンガポール人との交際が深い人ならおそらくわかることですが、この一件は単にシンガポール指導層だけでなく、一般シンガポール人の対マレーシア意識に潜む優越感、そしてそれが時に結びつく傲慢感の現れだといっても決して言い過ぎではないでしょう。
シンガポール人と話しているとき(その多くは華人系)、何気なく彼らが言う言葉の中に、マレーシアをいわば見下した心情が感じられるのですね。 筆者は10数年前に初めてシンガポールを訪れて以来何度も行ってますが、当時友人同僚たちのマレーシアを表する悪気のない言葉に、少しばかり驚いたことを覚えています。マレーシアに住むようになってからも、(私が日本人であると知らず華人系マレーシア人だと思ってる) お店の販売員が「マレーシア何かでは見つかりっこないですよ」 などと平気で言うのにも数回でくわしました。
ジョーホール州からは毎日数万人のマレーシア人がシンガポールの会社工場へ通勤してますし、シンガポールに住んでいるマレーシア国籍人は相当数にのぼります。また反対にシンガポールはマレーシアへの投資大国ですから、ジョーホール州には特にたくさんのシンガポール企業が工場を設立しています。 島国シンガポールはジョーホール州から毎日上水道を買っているのです。 この水がなかったらシンガポールは直ちに水飢饉におちいるでしょう。
マレーシアとシンガポールの関係は単なる隣国以上の関係ですが、シンガポールが独立以来ずっと経済的に優位であるため、シンガポール人はマレーシアを経済的後進国と捉える視点からどうしても逃れられないようですね。
ところがこの視点ですが、マレーシア人がお隣の同じイスラム教国家のインドネシアを見る時に、残念ながらこの視点をとってしまうのです。多くのマレーシア人がインドネシアからの出稼ぎ労働者に与える待遇、接し方には経済的優位者の態度そのものですね。隣国関係というものはなかなか理論道理にいかないものですな。
つい最近マレーシアのWEB ページに Langkawi と名うったホームページ( 全部英語です)が登場しましたので、さっそく紹介しましょう。日本からたくさんツアーがでてる ランカウイ島です。ランカウイはマレーシア各地の中で日本人旅行者に断然人気が高く、もちろんヨーロッパ、オーストラリアからもたくさん旅行者がおとずれています。では少し中身をみてみましょう。
マレーシアとタイとの国境に近いKedah 州に属するランカウイ島へは、クアラルンプールから頻繁にある飛行機便だけではなく、ケダー州の Kuala Kedahからと Perlis 州のKualaPerlis からフェリー便もあります。 Ferry Services の項目には時刻表も載ってますよ。それから 自由旅行者には 面白いLangkawi からタイ国境側の港町までのフェリー便もあります。
Where To Go という項目でざっとランカウイの 紹介を読んでから、それぞれ目的の項目にいきましょう。
高級リゾートからエコノミークラスさらに安ホテルまで約 50件ほどのホテルが住所、電話、ファックス番号、部屋数、そして部屋料金帯がそれぞれ示されてます。 そのうち四軒のホテルだけがインターネットのホームページのURL リンクを表示してます。 意外にその数が少ないのはまだマレーシアのホテルでインターネット予約をしてるところが、大手ホテルやインターナショナルチェーンホテルを除いて、一般化してないためです。
またホテルとはべつに Chalets の項目で シャレーやモーテル( 日本で言うモーテルとは違う)を紹介してます。 これらはどちらかといえば料金の安い手軽なタイプですね。少し不便な場所に合ったり、海岸に面してても簡単なシャレー式の部屋で、バストイレは共用などのタイプでしょう。こういう所には、よく欧米からのバックパッカー旅行者がたむろしてます。
島内バスの路線が3つ紹介されてます。ランカウイは公共バス網の面ではかなり不便ですね。バスの本数も1又は2時間に一本しかなく、島内をくまなく走ってないのでどうしてもタクシーにたよらざるをえなくなるでしょう。そこで Taxi Services の項目をみていただければ、主な地点間の標準タクシー料金が載っています。 それをみると空港から主な海岸まで15リンギット( 約750円)ですから、高くはありません。後の地点はもちろん皆さんの交渉しだいでしょう。
タクシーより自分で走り回りたい人には Vhicle Rentals をみてください。 レンタカー、レンタルバイク、レンタル自転車の料金が示されてますから、もちろんどこの会社、ホテルでも同じ料金ではないでしょうが、一応の目安になりますね。
その他ショッピングガイド、レストラン案内、トラベルエージェントの案内などもありますが、いずれも名前、住所、電話だけの簡単な紹介でイメージはまったくありませんので、現地で入手できるパンフレットの方が役立つでしょう。またこれらに一つもWEB リンクがないのがさびしいですね。
この Langkawi ( The Star Online) http://thestar.com.my/langkawi/ はマレーシアの主要英字紙であるThe Star が提供しています。その中の Langkawi という項目では、ランカウイ島に関するニュースをのせており、Newsの項目では Star 紙のホームページにリンクして毎日のマレーシアのニュースが英語で読めます、興味のある方はどうぞ。
なおこの Lankawi ホームページは、イラスト島内マップを除いてほとんど画像がありませんが、よくまとまった情報ホームページだといえるでしょう。画像が少ない分アクセスははやいです。マレーシア旅行を計画されてる方には、たいへんおすすめですね。尚筆者のホームホームページの 「マレーシア発の気になるサイト」 からもリンクしています。
マレーシアのみならずタイ、ヴェトナム、インドネシア、ミャンマーなど東南アジアを旅すると、至る所でHawker に出会います。Hawker といっても辞書に載ってる訳語をそのまま使って「 行商人」などとするとぴんときませんから、簡単に説明しておきましょう。
Hawker には2種類あって、一つは道路端、路地裏や住宅地、商業地の店舗の前に移動式の屋台を毎日ひいてきて、夜間だけとか日中だけとか大体決まった場所と時間に商売するタイプと、もう一つは同じような場所で商売するのですが、移動式ではなく仮設の店舗、仮設といっても何年もそこに居座ってますからこういうのがふさわしいかむつかしいところですが、で商売するタイプです。移動式のHawker は一般にそれほどたくさん固まって商売してませんが、仮設店舗のhawker だと何十軒時には百を超す店が一同に開きますから、壮観ですよ。
Hawker を意訳すると屋台となるのですが、これだと東南アジアを経験されたことのない方は、日本のお祭り、縁日の屋台店を想像されるでしょうから、すこしイメージが違ってきます。仮設のバラックながら5年10年と同じ場所で商売してるHawker もたくさんありますからね。だからここではあえて、hawker という英語の呼び名を使います。ただしこの英語名も東南アジアで使われる語義です。 英米のネイティブ話者にhawker といっても彼らの理解するところは、英英辞書に載ってる語義、「移動しながら物を売る人たち」 程度でしょう。
さてこのhawker はほとんどが飲食物販売の店です。炒めたり、油で揚げたり、熱湯にとうすだけの比較的短時間に調理できる料理が一般的なのは理解できますね。飲み物は果物ジュースやかき氷が一般的です。華人系の店の中には、甘味のアズキ類の飲み物だけを売っているのもあります。90年代に入って日本では東南アジアの屋台の味を紹介する本、雑誌がけっこうでるようになりましたから、(森枝さんの文庫本はたいへんすぐれてますよ)写真などでご存知の方もけっこういらっしゃることでしょう。
hawker 料理で一番多いのは麺類ですね。マレーシアだとガイドブックに必ず載ってるMee Goreng やMee Rebusならどこのマレー hawker街にもありますし、華人系hawker街なら Chao Kwaitio 、Ha minあたりでしょうか。
解説はこれぐらいにして本題にはいりましょう。hawker で飯を食べるのはマレーシア人(特に都会の)生活習慣です、一千万円近くもするベンツに乗って hawker街に飯をたべに来るのも、決して珍しいことではありません。このhawker を現在の商売地である路地裏、道路端、店舗前などから、近い将来、ビルの一角、内であれ、外に付帯されているかを問わず、に移すという政府の方針を、副首相が直々発表したのです(3月18日)。理由はいわずとしれた 交通渋滞緩和とごみ処理の徹底かが目的です。
hawker はその営業場所からどうしても車、バイクの無差別駐車と駐車場不足をまねきます。本来店を開いて商売するような所ではありませんからね。もう一つの理由、hawker そして客のゴミ散らかし僻が、おおげさにいえば環境汚染、つまり街をきたなくしてるのです。商売中、後とを問わずゴミをみぞに堂々と捨てたり、決められたゴミ捨て場にきちんと捨てないのはきわめて一般的です。客も食べ散らかしそのままですからどちらもどちらですね。
政府はしきりとゴミ捨て防止を訴えますが、カエルのつらになんとやら、まあ良くなる気配はありません。ですから政府のこの劇的な方針発表にいたったわけです。 ゴミ捨ては別にして、交通渋滞問題はhawker だけの努力で解決しませんから、こういう解決しかなさそうです。
この方針はクアラルンプールなら3万人ぐらい(そのうち免許のない非合法 hawkerも2千人ほどいるそう)といわれるhawker のみならず、多くの都会のマレーシア人に影響をあたえます。ビルの前に陣取った hawkerで朝飯用に買い物して( Bungkus という)オフィスで食べるとか、昼は働き場所近くの hawker街 か大衆食堂で食事する、なんて風景はどこのオフィスビルでも見られる光景ですね。
また夜は住居近くのナイトマーケット( pasar malam という)で夫婦で食事、 やっぱり hawkerと都会のマレーシア生活は切っても切れない関係です。 家庭で料理しない筆者などはしょちゅう hawker のお世話になってます。
hawkerの食べ物は、料理人がせいけつにしていない、食器や食べ物をよく洗わないなど衛生面では当然疑問符がつきます、このぐらいはマレーシア人はだれだって知ってますが、そんなこと余り問題にしてないのですね。そんなこと気にしてたら、hawker はもちろん大衆食堂でも食事できなくなってしまいます。hawker も大衆食堂も、筆者からみれば五十歩百歩ですから。 でもこれが東南アジアの庶民の暮らしの一面でもあるのです。
しかし国家が発展し、経済成長がつづくと、こういう生活、暮らしもすこしづつ変化せざるをえなくまります。特にしゃにむに発展国入りをめざすマレーシア政府は、マレーシア国民の暮らしを向上させよう、つまり変えようといろんな政策、方針をうちだしています。 今回の hawkerをビルのFood Court内に移すという方針もそれにそったものでしょう。
クアラルンプールは2000年をめどに段階的に ,現在外でつまり 市場内やFood Court 内で商売してないhawker は現在地で商売できなくする、同時に既存の商業ビル( 多くはFood Courtをもってない) や新規の商業ビルに Food court 設置を義務づけるというものです。そして段々とマレーシア全国にこれを適用する。
これどこかでみた方針ですね。 そうお隣、シンガポールでは一足先に実行済みです。
2000年にはクアラルンプールの hawker街はクリーンで有名なシンガポールのような Food Court ばっかりになってしますのでしょうか、それともFood Court と共存しながら 、相変わらずちょっと汚くゴミゴミした、車の騒音にみちたナイトマーケットで夕食という、きわめて東南アジア的風景は生き残るでしょうか?
今週は、現在(3月末)公開中の、シンガポールで制作された映画 「 ARMY Daze the Movie」 についてです。マレーシアの映画館で シンガポールの映画が公開されるのは初めてのことだそうです。そうだからといって話題を呼んでるのではないようですが、映画好きの筆者はさっそく映画館に足を運んだので、それをお伝えしましょう。
尚マレーシアの南部の州、特にジョーホール州ではシンガポールのテレビ番組が普通に受信できますし、マレーシアの英字紙などは毎日、シンガポールのテレビ番組表を掲載しています。タイ国境に近い州ではタイのテレビ番組を受信できるのに、新聞にはその番組表が掲載されないのと対照的ですね。
この「 ARMY Daze」 、意訳すれば 軍隊で当惑すること、にでもなりましょう、はシンガポールとマレーシアの2国で広く映画館興行と配給をしている Cathey グループがその制作会社 Cathey Asia Film に制作させた最新映画です。今回筆者がこの映画について書くのは、映画の紹介が目的ではないのですが、一応ごくごく簡単にあらすじをいいます。
シンガポールでは 男子は18歳になると National Service という一種の徴兵制があります、そこで初めてNational Service をすることになったシンガポール青年の 3ヶ月間の徴兵生活を、コミカルなタッチで映画化したものです。主演の俳優5人はすべてシンガポール人でしょう、筆者はかれらがテレビなどで有名か無名かはまったく知りませんが、低予算で制作されたようで、はでなシーンは一つもないにもかかわらず、喜劇タッチらしいすこしオーバーなアクションが映画にアクセントをつけ、90分を退屈させません。
映画の最初にでる出演者名もアルファベット順、という珍しいシーンから始まります。シンガーポールが 華人系を多数民族とした多人種国家であることから、5人の主演も 3人の華人系、インド系一人、マレー系一人という構成です。これがこの映画の根幹ですね。
ではなぜわざわ筆者がシンガポール映画をこのコラムで扱うかといいますと、それはこの映画で使われる言語が、Singlishと呼ばれる、シンガポール英語だからです。それに米国ハリウッドなどとは全く関係なく制作された、本当のlocal movie だからです。主演の若者5人だけでなく、出演者全員が日常の Singlish を話してますから、大変興味深いのです。
マレーシアでは、制作される劇場用映画はすべてマレーシア語映画で、テレビ番組用は別にして、英語の劇場映画はまったく製作されてませんから、マレーシアEnglish を映画館で堪能することはできません。( 映画の中の一部台詞ならもちろんありますが)
Manglish、あまり一般的な呼び名ではありませんが、は Singlish と大変似ているので、この映画は日本の方には非常に参考になること間違いありません。 日本では90年代に入って、いっきに東南アジアへの興味がましたようですから、ひょっとしたら日本でも公開されるかも、いや是非そうなって欲しいものです。インドネシアの インドネシア語映画、タイのタイ語映画、マレーシアのマレーシア語映画は Asean centerなどで時々公開されてると聞きましたから、シンガポールのこの Singlish 映画もその仲間入りさせてくださいな。
英語が、誠に残念かつ非英語国人に絶対不公平ながら、最も広範囲に使われる国際語であることはもはや誰も否定できません。しかしそれが広く使われれば使われるほど、英語の言語としての亜種は増えていきます。一般にだれでも外国語を習う、使う時、自分の母語( 母国語ではありません、母語と母国語とは似て非なるものです)の影響をうけますから、英語を外国語又は第二母語として習得する際も同様です。ここから Singlishや Manglish、もちろんJapanglish も、が生まれてくるわけです。
上ですこし述べましたが、華人系が多数派のSinnglish と マレー系が多数のManglish はその地理的経済的近接から大変似ています。どこまでが Singlishで どこまでが Manglish かは筆者もよくわかりませんが、マレーシア英語にはその会話中にsinglish に比べて、より多くのマレー語が挿入される点でしょうか。
Singlish もManglish もイントネーションはもちろん米語や英語の標準イントネーションではなく、華人系話者なら声調をともなってしまいますし、マレー系話者ならマレーシア語的になるのは当然でしょう。語のアクセントも英米人ほどには強調されません、いわゆる ”th” の発音は” t” になってしまいますし、米語の巻き舌発音は全く聞かれません。
語彙にもこの地域特有の意味を帯びた語がいくつかあります。このあいだのコラムで扱った Food Court とか、outstation ( 標準英語なら out of town )、go back ( home をつけないでも、家に帰るの意味で使う)、dobby (洗濯屋)などなど。
特徴をもう少しあげましょう。文の語尾に 英語の語尾でない語を付加する。 例: you don't know ka? マレーシア語の 質問調を示す kah を付加。その答えに、例: I don't know la ! のように、中国語の強調詞 la を付加。
これは極めて日常語です。Never mind la ! , You go first la ! などなど至るところでしょっちゅう耳にします。
また疑問文に Do/ Does / Did 類の疑問助動詞をはぶいて、平叙文の最後に ? の調子でいう。例: you saw the movie Army daze ? , you eat what ?
マレーシアでもっと顕著だと思われる特徴に、現在完了形をあまり使わずに、すべて単純過去形にしてしまう。それと反対に、過去を強調するために、不必要な大過去形を使いがちである。 例: 10 years ago he had finished his schooling, however, recently he wants to study again.
その他まだまだありますがこれくらいにして、このマレーシア英語の特徴はいつか機会を改めてあつかいましょう。
英語が国際語として話される場合に、多くのマレー人や華人系、インド系マレーシア人にたいへん一般的な、自分たち間だけに通じるような発音、イントネーションの ”英語もどき” には辟易かつ反対しますが、それかといって日本の英語教育のように、英米人の発音とおりにしなければならない、という発想も感心しませんね。
最低限標準文法に沿った英語でなければ、汎用性はぐっとおちるでしょう、また極端にクレオール化 したくずれた英語を話すより、その国の言語、多数であれ少数であれ、を話すべきです。これが母語の発展にもつながるのですよ。
さて、英米の英語しか知らない日本の英語好きの方、東南アジアに興味あるひと、それにマレーシア在住の 日本人の皆さん、この 映画 「ARMY Daze」 機会があったら是非ご覧になってください。